始まりの終わり

一年の区切りを迎える日である。 この一年間、日々欠かさずBLGに思うところを述べる作業を続けてきた。継続は力なり。よくやってきたと我ながら思う。 わたくしがこれを始めようかななんて思った理由は、だいたい100個くらいあって(←くるりの『ハイウェイ』…

振り返ると丘の向こうに海が見えた

BADSCIENCEがこの一年を振り返っている。 http://www.badscience.net/2009/12/the-year-in-nonsense/ (仮訳) ◆この一年のナンセンスな出来事 この一年。政府の怪しい科学にとっては、実り多い一年であった。DNAデータの保管を正当化するためのよく分からない…

わたくしのみたビートルズはレコードの中

音楽を語る上でいつかはビートルズを語らねばなるまいに。バンドを組みビートルズ演奏に熱を入れた十分に薫陶を受けている世代と認識をしている(いまどきの10代の子もそうだろうけれども)。ヤフーのビートルズ特集で全213曲の人気投票結果が行われた。その…

おしゃべり階段

NHK趣味の講座ブックスの「四コマ漫画入門」はおそらく楳図マニア必携のムック本となるだろう。今を逃して二度と手には入るまい。しかし、本日の話はそれとは全く関係ないので、半魚人やへび少女が苦手な諸氏にあっては、それらの顔を頭に思い浮かべなくても…

唇寒し評論家

議論(討論)は、民主主義下の意思決定プロセスにおける直裁的手段であると言える。 科学の世界においては、このことに加えて、科学的思考という暗黙知(了解事項)が存在し、議論の基盤を為している。 その他にもいろいろな仕掛けが施されているのであろう…

一杯のかけそばかよ

大盛りザルそばを注文すると蕎麦自体の量にはさほどの変化もないが、海苔の量だけが3倍に増えるという摩訶不思議な一品を提供してくれるくだんの社食でわたくしが蕎麦をすすっていると、隣に座った二人連れが「ね。ここの蕎麦、結構イケるでしょ。」などと…

遙か遠い国で

あまり話題に上がらなかったが(日本では尚のこと)、ある一人の政治家(そして科学者)の死を伝える海外電記事である。 ◆マント・シャバララ・ンシマング博士が死去(69歳)。南アフリカの前厚生大臣で、HIVがエイズを引き起こす原因であることを否定した。…

切符もぎりは花形嬢の役と決まっていたのだ

◆「何度見てもすごい50本」決まる、「午前十時の映画祭」 カサブランカ▽第三の男▽天井桟敷の人々▽雨に唄えば▽ライムライト▽ローマの休日▽裏窓▽エデンの東▽ショウほど素敵な商売はない▽戦場にかける橋▽昼下りの情事▽鉄道員▽お熱いのがお好き▽十二人の怒れる…

右心房書店問答

御近所の留さん「よお、毎度。景気はどうだい。」 右心房書店店主「見ての通り。羽振りが良く見えるかい。」 留「こんなに客が大勢入っていて、結構なことじゃねえか。」 店主「師走だから、確かに店内で物色する連中は多いさね。しかし、この中のいったい何…

一瞬の風か、強く吹いている風か

事業仕分けに対するアカデミアからの反撥の声は未だに引きも切らない。 しかし、科学技術は重要だ、費用対効果はもっと長期的な視点で、といった反論は間違ってはいないだろうけれども、観衆の心をあまり打ちそうにない。のっぺりした話ばかりでは大衆はすぐ…

謎は人間の中にこそある

「犬派」だとか「猫派」だとかの他愛ない話は、血液型性格判断と同じで戯けたテーマなので、スイカ味チョコレイトと同じくらいまったく個人的興味は沸かないが、それとは無関係に、本日は犬の話題を取り上げてみる。 すると、そこへ、「犬でも猫でもどうでも…

巣ごもりの冬

COP15の宴も終わった。無礼にも中国が場をぶち壊しただの、インドが相変わらずのKYな唯我独尊ぶりを発揮しただの、罵り合いや余談のネタには未だ事欠かないが、いずれにせよ、目先の利益に勝るインセンティブはなさそうだ。 朝三暮四の猿たちを嗤えない人…

ドラムスをばしばし叩きながら、毎日がクリスマスだったらいいのに、と唄わせていただきます

米国国務省のCROWLEY次官補が12月22日の定例記者会見の場で、重大報告を行っている。 これが事実であるとすれば、これまでの世間に蠢く数多くの陰謀説など屁にもならぬほどの衝撃的ニュースとなるだろう。 喩えるならば、日本で言えば、「首相、官邸で密かに…

1万円のラーメン

サラリーマンらしい若者の二人連れが電車内で話している。 A:「知ってるか。1万円のラーメンを食べさせる店があるらしいぜ。一度でいいから、そんなラーメン食べてみてえよな。」 B:「1万円かあ。いったいどんなラーメンなんだろう。」 A:「何でもよ…

騙し騙され一年が終わる

今年初めに、「世界恐慌が再来するのだ」と預言者の如く明言をした、過去にノーベル賞を受賞したことのある著名経済学者の発言をわたくしはしかと自らの記憶装置に保管している。 http://www.nytimes.com/2009/01/05/opinion/05krugman.html?_r=1 正月のお屠…

はくちょうはどうしてさむさにふるえるところにやってくるの

自分の生まれた当日の当該地の天気が分かるのだとか。 http://weather.goo.ne.jp/past/index.html 何とも便利な世の中になったものだ。 タイムマシンなんかなくたって、十分に過去に遡る旅行はできてしまうではないか、とさえ思えてしまう。 それで、わたく…

世界最恐を目指して

◆「女だけど気持ちは男」 校舎の窓ガラス蹴り壊す 少女ら4人逮捕 校舎の窓ガラスを壊したなどとして、警●庁少年事件課は器物損壊容疑で、●川区と●田区に住む中学3年生の少年3人と少女1人を逮捕した。同課によると4人とも容疑を認め、少女は「私は女だけ…

アイスクリームのデコレーションケーキを買える家はセレブだった昔

クリスマスには直接関係ないが、それらしい、何とも含蓄深いニューヨークタイムズ紙のコラム記事より。 http://www.nytimes.com/2009/12/20/opinion/20bearman.html?pagewanted=1&em ◆私の不完全なバブルの泡について 「キャンディよりも、サーディンのほう…

わたくしは住みやすさ最下位にランクされたことがある都道府県に住んでいたことがある(そこに住むことが不幸なことだとはこれぽっちも思わなかったけれども)

LAタイムズ紙の科学コラムより。 http://latimesblogs.latimes.com/booster_shots/2009/12/happiness-qualityoflife.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+BoosterShots+%28Booster+Shots%29 ◆それで、最も幸福な州は...ルイジ…

お笑いネタに知財権がないのはどうしてなんだろうと思いながら、本日のテーマはポスドク芸人

ロッチの中岡君が少年少女の阿部ちゃんにホの字であったことを知ったときは、密かにどちらのファンでもあったわたくしにとって、少々ショックな出来事ではあった。陳ねた二人のカップルを見たいような見たくないような(…やっぱり、見たくない)。 そんなど…

眠る女

と或る夜の電車内での出来事。 車内は乗客で満員だった。わたくしは神妙に座席に着いていた。 わたくしの前に立った若いお嬢さんがさりげなく、座りたいぞ、早く、一刻も早く降りろ、降りるのだ、そこ、そこの席だ、早くどけ、お前、どくのだ〜〜光線をわた…

かもめはかもめ、親爺は親爺

久しぶりに三面記事からの拾い上げ。 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091218-OYT1T00410.htm ◆「クモの巣、掃除しろ」駅員に暴行、65歳逮捕 ●玉県警●巣署は18日、同県●巣市●見台、会社員小●●容疑者(65)を暴行容疑で現行犯逮捕した。 発表…

捲土重来を期してミステリー批評誌に活を入れるための覚え書き

今年も本年版の「このミス」が書店に並び、わたくしは半ば義務のように購入をする。 臨時ムック版も含めて二十年弱、創刊号から欠かさず揃えている。 それほどのファンなのかと問われれば、それほどのファンではありません、ときっぱり答えたい。単なる習慣…

亡霊たちの宴

BADSCIENCEもホットな話題について行こうという意図だろうか。スカンジナビア半島にも悪気のないゾンビーズが集っているのだろうか。 ガーディアン紙より。 http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/dec/12/bad-science-goldacre-climate-change#start…

'betray oneself'

「科学が政治の力で左右されてはいけない」なんて尤もらしい発言を聞く機会が多くなったのは、事業仕分けの影響に他ならないわけであるが、一方で、科学の側が政治の力を意識的に利用する光景も垣間見ることがあったりして、これはこれで大変に興味深い。 【…

ばった→ばたばた勢いよく落ちたりするさまの擬態語から、「投げ売り」を意味する古道具商の隠語。偽物商品や粗悪品を「ばったもん」と呼ぶ。

年の瀬恒例のあっこちゃんのコンサートに行き(※いきなり話は脱線するのだが、「コンサート」のことをその昔「リサイタル」と呼んでいた。今、そんな単語を声に出せば、くすりと微笑われてしまうだろうか。その後、「リサタイル」は、「コンサート」あるいは…

グローバリゼーションは想像以上に七面倒臭いのである

いつかR.ドーキンズ博士が英国ではイスラム教徒の増加が脱進化論に拍車をかけているといったコメントを残すインタビュー記事があった(本欄で紹介済)。 そこで、ガーディアン紙にこのような記事があった。 http://www.guardian.co.uk/commentisfree/belie…

小さい頃にサンタクロースが家にやってきたことは一度もなかった。家に煙突がなかったせいだと自分で無理矢理得心をしていた。

党首の正体が猫目小僧であったことが世間に今更ながらバレつつあるこの年の瀬において(映像で拝見する度にあれは本当に「猫」のまなこに見えてくる、ほら、見えてくる見えてくる…)、如何せん対抗馬が出てこないと盛り上がらないぞと、物足りなさを感じる選…

女は画れり、のその後

(12月11日付け「汝は画れり」を参照のこと。) パネリストはたいそう気分が良くなかった。道州制の推進を旗印にしたシンポジウムに呼ばれ、持論の熱弁を揮ったというのに、些か盛り上がりに欠けた。以前であったならば、なんて大胆で鋭い至言なのだといった…

「偕老同穴の契り」を英訳してごらんなさい('marriage bed'じゃ駄目)

たぶんLAタイムズのオピニオン欄より。 >> (仮訳) ◆一夫一婦制を守るために 人類の性行動を動物のそれと比較することは、我々が驚異的な生物種であるという事実を無視したものである。 (Sharon M. Scott記) 11月22日のタイムズ紙特集ページ記事「当然、一…