政治

遙か遠い国で

あまり話題に上がらなかったが(日本では尚のこと)、ある一人の政治家(そして科学者)の死を伝える海外電記事である。 ◆マント・シャバララ・ンシマング博士が死去(69歳)。南アフリカの前厚生大臣で、HIVがエイズを引き起こす原因であることを否定した。…

一瞬の風か、強く吹いている風か

事業仕分けに対するアカデミアからの反撥の声は未だに引きも切らない。 しかし、科学技術は重要だ、費用対効果はもっと長期的な視点で、といった反論は間違ってはいないだろうけれども、観衆の心をあまり打ちそうにない。のっぺりした話ばかりでは大衆はすぐ…

亡霊たちの宴

BADSCIENCEもホットな話題について行こうという意図だろうか。スカンジナビア半島にも悪気のないゾンビーズが集っているのだろうか。 ガーディアン紙より。 http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/dec/12/bad-science-goldacre-climate-change#start…

'betray oneself'

「科学が政治の力で左右されてはいけない」なんて尤もらしい発言を聞く機会が多くなったのは、事業仕分けの影響に他ならないわけであるが、一方で、科学の側が政治の力を意識的に利用する光景も垣間見ることがあったりして、これはこれで大変に興味深い。 【…

グローバリゼーションは想像以上に七面倒臭いのである

いつかR.ドーキンズ博士が英国ではイスラム教徒の増加が脱進化論に拍車をかけているといったコメントを残すインタビュー記事があった(本欄で紹介済)。 そこで、ガーディアン紙にこのような記事があった。 http://www.guardian.co.uk/commentisfree/belie…

小さい頃にサンタクロースが家にやってきたことは一度もなかった。家に煙突がなかったせいだと自分で無理矢理得心をしていた。

党首の正体が猫目小僧であったことが世間に今更ながらバレつつあるこの年の瀬において(映像で拝見する度にあれは本当に「猫」のまなこに見えてくる、ほら、見えてくる見えてくる…)、如何せん対抗馬が出てこないと盛り上がらないぞと、物足りなさを感じる選…

女は画れり、のその後

(12月11日付け「汝は画れり」を参照のこと。) パネリストはたいそう気分が良くなかった。道州制の推進を旗印にしたシンポジウムに呼ばれ、持論の熱弁を揮ったというのに、些か盛り上がりに欠けた。以前であったならば、なんて大胆で鋭い至言なのだといった…

汝は画れり

道州制に関する市民シンポジウムにて。 会場からの質問に答えるパネリスト。 ◆質問者A「道州制によって、世の中がどのようによくなるのでしょうか。具体的に教えていただけますか。」 ◇パネリスト「私達の生活を巡る行政上の決め事が中央である国で一律的に…

御茶餅(正確な発音は、おぢゃもぢ)

STRAIGHTSTATISTICSというHPの家主であるナイジェル・フォークスという英国人ジャーナリストがいる。表題の如く、数字を読み解くことを主題として掲げたHPではある。BaDSCIECEの小ネタ版といったところか、その中のブログからの一篇を紹介。 http://www.stra…

クラックス再び

ホメオパシーに関する英国議会科学技術小委での関係者が一同に会した公聴会の模様について、先のBAD SCIENCEはほんのさわりだけであったが(11月28日付け「不機嫌なファンダメンタリストたち」参照のこと。)、同僚イアン・サンプル記者の手により、ガーディ…

人は見た目で騙される

新聞ではあまり報道されていなかったが、先般訪日したオバマ大統領は、お食事会での手土産に「青い薔薇」の花束を受け取っていた。遺伝子組み換え技術で作出され、世界唯一無二の、不可能の代名詞を持つ、青い色素を有し、その不可能を可能にした、あの薔薇…

雲無心以出岫

11月の冥く沈んだ灰色の空は、わたくしの心情との親和性がとても高いように思える。くすんだ空色と心根の間に横たわる神秘性に思いを馳せることがあるとするならば、それはきっと、わたくしのこころそのものの中に神秘が介在しているからに他ならない。空は…

政治にはお金がかかるのだ(衣装代とか花代とか)

昔ある時期に女優をやっていたことがあって、今は特段のオファーが来ているわけでもない(中岡君が扮する大部屋男優の十文字君のような)人が裁判の証言台で裁判官から職業をきかれた際に、「女優です」ときっぱり答えるのは、どうなのだろうか。 …という話…

タブーはわたくし自身の中にある、差別はわたくし自身の中から生まれる

今回は、わたくしのいい加減な仮訳ではないニューズウィーク・ジャパンの邦訳記事であるので、何より安心して読める。 そしてつくづくと感じるのであるが、こうしたコラム内容の(ペンの力の)力強さについてである。ストレートに心に響く内容であったので、…

インド人って…

11月にローマで世界リーダー会議が開催されることも是あって、現在の世界の話題のハイライトは食料飢餓問題に向いているかのようにさえ思える。クリントン国務長官のスピーチ(10月25日付け「ゴミ屋敷日本」参照のこと)、英国王立科学院のレポート(10月30…

米百俵の使い途

もう何年も昔のことかと勘違いしてしまいそうになるオバマ大統領就任演説で、最もわたくしが感銘を受けた "restore science to its rightful place." という台詞が再び話題に上がっているので、取り上げてみようと思う。ホワイトハウスのブログの中で、科学…

奥歯にスルメが引っ掛かる

特定対象者に対する新型インフルエンザワクチンの接種回数に関して、とある政務官(医系出身者)が横やりを入れて見直すこととなった出来事。 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20091020-OYT1T00433.htm 当然のことながら、わたくしには1回で十分事足…

私権制限

豪州のとある町がペットボトル水の設置販売禁止条例を可決させたとのニュース。シドニー・モーニング・ヘラルド紙より。 http://www.smh.com.au/national/nsw-town-dumps-bottled-water-20090926-g6ry.html (仮訳) ◆ニューサウスウェルズの町がペットボト…

長い文章に目を投じることもひとつの先行投資と言うことで、オバマ大統領、如何でしょうか

オバマ政権の原動力となるべきイノベーション政策に関して、先頃行われた(といっても少しばかり旧聞の類)大統領の講演録をストックしておこうと思う。 場所は、とあるコミカレ。公立の職業訓練短大とでも言えばよいか。 (仮訳) ◆技術革新と持続可能な成…

カシスサワーで酔っ払う市井の人

この国のありようを考えてみるに、、、などとたいそうな大風呂敷を広げた話をすると、バラク・オバマならまだしも、わたくしが傍らで朝顔が萎えた縁台でカシスサワー片手に偉そうに口にしても到底様にはならない。 そういうシチュエイションであることの視線…

税制アイデア募集中

ホワイトハウスのブログによるところでは、米国民に税制改正に関するアイデア公募を行っているらしい。 日本でもかつて特区制度なるもので国民各位のアイデア、要望募集という試みが行われたことはあるにはあったが、その際も税制は対象外だった筈。というの…

オバマ医療保険制度改革を語る

就任前後は数々の名演説で大衆のハートを鷲掴みしてきたオバマ大統領。最近は、なりを潜めて聞き役に徹してばかりいるのかと思いきや、久々に吠えた。 医療保険制度改革に関する両院総会での演説。医療改革を巡る議論については、先進国にあるまじきしっちゃ…

成熟過程社会における反体制の意味

LAタイムズ紙が日本を題材にした社会派ルポルタージュ風記事を掲載している。テーマは百里基地闘争。ひところのA新聞のような左側の視点の内容なのか、それとも米国的独自の視点が加味されているのか、暫し興味を持って眺めてみる。 http://www.latimes.com…

この暑いさなかに、もうシビルミニマムもナショナルミニマムも要らないなんて言っているのは誰よ?

『高度経済成長期には、全国一律のメニューを示し、地方がそれに追随する中央集権システムの行政が機能したが、現在は多様な社会ニーズにそれがマッチせず、それが機能不全に陥っていることからも明らかなように、分権型の新しい統治モデルの呈示が求められ…

熊の皮算用(その2)

「新聞案内人」はほぼ真っ当なコラム内容であると評価をしている。毎回日替わりで斯界の識者が順番にその思うところを述べているが、特にわたくしが、或る哲学者の回(終わってしまった)を気に入っているのは、その観察眼の陳(:ひ)ねた距離感に親近感を覚…

マニフェストはイタリア語。イタリア人の公約。

***** 7月30日(木)追記 早速いの一番の当事者(現野党第一党)軌道修正である。修正は悪いことではないが、余りに方向性が矛盾していた。やはり、常識的に考えてアウフヘーベンは無理であったということのようである。 http://www.nougyou-shimbun.ne…

マニフェストはイタリア語。イタリア人の公約。

「中庸でお行儀が良い」と先日、評してみた現野党第一党のマニフェストであったが、巷の声から判断するに、どうやらそうでもないらしい。 尤も、例えば、温室効果ガスの排出量を2020年までに25%(1990年比)減らすとした目標に対して、「できっこ…

開票までの40日間を持て余しているのは攻勢の野党ではなくメディアのほうであった

マニフェストではないということであるが、その基になる政策集というものが民主党から出たらしい(本日のマニフェストとともに漸く党のHPに掲載された)。 http://www.dpj.or.jp/news/?num=16667 例えば、税制改革などは、国民のほとんどが利害関係に直接関…

日本って…

連日のうだるような猛暑の中で、本日の話題は、頭歯利。政治記事(英国インディペンデント紙)。 ◆総理大臣に侮辱された日本国民が報復を開始した肥りすぎ、ホームレス、高齢者。麻生太郎は、彼らを侮辱し怒らせてきた。40年にも亘る長い間、日本の政治を支…

代議士の皆様が雛壇の上で切歯扼腕をする前に

そう遠くないという将来(分かり易く言い換えれば、「近々」)に予定されている総選挙において、対立軸というまでには議論が相当程度に熟しているとは到底思えないが、一つの分かり易い選択争点のテーマとして「官僚政治の打破」が掲げられている。 'change'…