科学

振り返ると丘の向こうに海が見えた

BADSCIENCEがこの一年を振り返っている。 http://www.badscience.net/2009/12/the-year-in-nonsense/ (仮訳) ◆この一年のナンセンスな出来事 この一年。政府の怪しい科学にとっては、実り多い一年であった。DNAデータの保管を正当化するためのよく分からない…

唇寒し評論家

議論(討論)は、民主主義下の意思決定プロセスにおける直裁的手段であると言える。 科学の世界においては、このことに加えて、科学的思考という暗黙知(了解事項)が存在し、議論の基盤を為している。 その他にもいろいろな仕掛けが施されているのであろう…

一瞬の風か、強く吹いている風か

事業仕分けに対するアカデミアからの反撥の声は未だに引きも切らない。 しかし、科学技術は重要だ、費用対効果はもっと長期的な視点で、といった反論は間違ってはいないだろうけれども、観衆の心をあまり打ちそうにない。のっぺりした話ばかりでは大衆はすぐ…

わたくしは住みやすさ最下位にランクされたことがある都道府県に住んでいたことがある(そこに住むことが不幸なことだとはこれぽっちも思わなかったけれども)

LAタイムズ紙の科学コラムより。 http://latimesblogs.latimes.com/booster_shots/2009/12/happiness-qualityoflife.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+BoosterShots+%28Booster+Shots%29 ◆それで、最も幸福な州は...ルイジ…

お笑いネタに知財権がないのはどうしてなんだろうと思いながら、本日のテーマはポスドク芸人

ロッチの中岡君が少年少女の阿部ちゃんにホの字であったことを知ったときは、密かにどちらのファンでもあったわたくしにとって、少々ショックな出来事ではあった。陳ねた二人のカップルを見たいような見たくないような(…やっぱり、見たくない)。 そんなど…

亡霊たちの宴

BADSCIENCEもホットな話題について行こうという意図だろうか。スカンジナビア半島にも悪気のないゾンビーズが集っているのだろうか。 ガーディアン紙より。 http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/dec/12/bad-science-goldacre-climate-change#start…

'betray oneself'

「科学が政治の力で左右されてはいけない」なんて尤もらしい発言を聞く機会が多くなったのは、事業仕分けの影響に他ならないわけであるが、一方で、科学の側が政治の力を意識的に利用する光景も垣間見ることがあったりして、これはこれで大変に興味深い。 【…

グローバリゼーションは想像以上に七面倒臭いのである

いつかR.ドーキンズ博士が英国ではイスラム教徒の増加が脱進化論に拍車をかけているといったコメントを残すインタビュー記事があった(本欄で紹介済)。 そこで、ガーディアン紙にこのような記事があった。 http://www.guardian.co.uk/commentisfree/belie…

彼女を川に連れて行って川の水を飲ませる方法(但し、無理矢理飲ませようとすると警察に通報されます)

ガーディアン紙(12月10日付け)の意見欄にこうした主張が掲載されている。 内容は特に目新しいわけでもないが(正直わたくしゃ厭きた)、日本と同じように、科学的な根拠はさて置き(※さて置いてきたというのに、主張の根拠(言い訳)として科学的な物言い…

「このミス」の季節も近い。似たようなものが巷に溢れている。それらランキング本自体のランキングはどうなんだ。

欧米人だからといってユーモアやウィットに富んでいるとは限らないという、何やら冴えない喰えない記事である。 米タイム誌は最新号で、今年最高の発明1〜50位と最低の発明五つを掲載した。最低の発明には「ガスマスクとしても使えるブラジャー」などと並…

漸くヤキソバにまで出世して市民権を得たというのに

http://www.guardian.co.uk/world/blog/2009/dec/04/ufo-hotline-closes-down-mod (仮訳) ◆UFOを見た?国防省に電話をしてはいけない! UFO目撃者のためのホットラインが最近の不景気の犠牲者に… UFO目撃例、あるいは、緑色の小男や宇宙からの侵略者を調査…

にっちもさっちもどうにもブルドッグ

わお。というわけで。 ◆インテリジェント・デザイン(ID論)は生命起源に関する研究から除外されるべきではない 複雑な生物システムは、新ダーウィン派(ネオダーウィニズム)のプロセスによってだけでは説明できないのである。 http://www.guardian.co.uk/com…

ロンド(つづき)

そういったわけで、(約束は果たされるのだ)想定の範囲内の諸相の一つとして、先のID擁護派からの反論に対するID否定派からの間髪入れない再反論である。 http://www.guardian.co.uk/commentisfree/belief/2009/dec/03/intelligent-design-creation-christi…

英袮、英知 (あるいは、人の数だけ失望があり、それでも明日への希望は膨らみ)

「高度医療が神の領域まで踏み込んでいる」という発言は、ピラニアの群れのいる池に向かって挽肉を散撒くようなものである。 様々な観点で、一部のネット社会では結構な騒動が巻き起こされそうな気がする。 この発言をした西日本のと或るまちの首長は、おそ…

読者の忍耐力を試すような記事

それは、LAタイムズ紙から。内容はいたって真面目でまともである。嫌な予感がしたら、途中でも回避すべし。 http://www.latimes.com/news/nation-and-world/la-na-bugman28-2009nov28,0,700401,full.story (仮訳) ◆検死に関する法医学研究での昆虫の利用 …

クラックス再び

ホメオパシーに関する英国議会科学技術小委での関係者が一同に会した公聴会の模様について、先のBAD SCIENCEはほんのさわりだけであったが(11月28日付け「不機嫌なファンダメンタリストたち」参照のこと。)、同僚イアン・サンプル記者の手により、ガーディ…

やっぱり不機嫌なファンダメンタリストたち

最近、R.ドーキンズをきっかけに宗教関係の記事に足湯を浸かりに行く機会が増えたような気がする。わたくし。 今回は、NYタイムズ紙のコラム記事。 http://www.nytimes.com/2009/11/26/opinion/26kristof.html?em ◆宗教戦争 (byニコラス・D・クリストフ) …

不機嫌なファンダメンタリストたち

BAD SCIENCEのBLG亭主が大好きなホメオパスを今日も食卓の上に並べてご機嫌である。 (仮訳) ◆本日のホメオパシーに関する英国議会科学技術小委員会について 本日、私は議会(科学技術小委員会)において、ホメオパシー錠剤のMHRA認可、並びに、NHSのホメオ…

Quite Breathtaking(なんて、大げさな…)

2009年初冬、当世流行の「事業仕分け」(5年後時点での世間認知度は凡そ不知)において、当該事業に関連する業界団体がWG仕分け人の厳しい御指弾に対して当惑を示す様子がよく報じられていたりするが、政官と業の癒着ぶりを糾弾する構図を支持する多くの諸…

わたくしが新興宗教の教祖様に祀りたてられる日

高尚なテーマではある。なお、進化論とは関係ない。(わたくしは進化論マニアやアンチ創造論マニアではないので、念のため。ちなみに、ジャンルは異なるが、J・ルメートルは尊敬。) NYタイムズ紙より。 http://tierneylab.blogs.nytimes.com/2009/11/19/how…

後日譚、というか、フォローアップ、というか、補筆

先日、英国民の半数以上が進化論と創造論の両方を授業で教えるべきだと考えているという記事をチェックしたのであるが(11月16日付け「またドーキンスかよと久美子は言った」参照のこと)、そのデータソースはここいら辺りだろうか。 http://www.guardian.co…

行き先の分からない曲がりくねった坂道と針金、そして、合成化学科卒

BadScienceより。 http://www.badscience.net/2009/11/wtf/#more-1397 今回のテーマは、ダウジング。ダウジングとは、こちらを参照。 http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%C0%A5%A6%A5%B8%A5%F3%A5%B0 (仮訳) ◆なんじゃこりゃ? 似非科学をテーマに掲げるこ…

11月の風物詩といえば、取的さんの全くいない両国の街の国技館で行われる高専ロボコンである。そして、隅田川の川面は秋色から冬色へと移ろいゆくのだ。

ミシェル・オバマ大統領夫人がエネルギー省に出向き、行った講演録。内容は、科学者の社会貢献、並びに、科学教育といったところか。特に、若者の発明技術コンテストの如きイベントについて詳しく述べている。 ◆エネルギー省イベントのファーストレディーに…

「また、ドーキンスかよ」と久美子は言った(但し、ちょっとしか出てこない)

科学と宗教を巡る歴史的経緯を体系的に分かり易く整理した労作でもある、アリスター・E・マクグラスの「科学と宗教」(教文館)をたりらり読んでいたところ(※労作をタリラリ読むその姿勢がまず間違っている。)、ドーキンスに関してコメントをした頁が約3…

雲無心以出岫

11月の冥く沈んだ灰色の空は、わたくしの心情との親和性がとても高いように思える。くすんだ空色と心根の間に横たわる神秘性に思いを馳せることがあるとするならば、それはきっと、わたくしのこころそのものの中に神秘が介在しているからに他ならない。空は…

これを読んでも、フルーツマイスターになれるわけではありません

学生時代の学舎にと或る若い教官がおられて、その教官は、文京区弥生町方面からわたくしの学ぶ学舎のある片田舎へと遠路遙々着任してこられた方で、よく言葉の端端に「T大では…」という修飾語を付加しておられた。そうした比較分類法的レトリックに対しては…

リチャード・ドーキンス博士斯く語る

LAタイムズ紙からの話題は、進化学の雄、動物行動学者リチャード・ドーキンスへのインタビュー記事。進化論が当然の如くには語られていない米国でのインタビューであるからにして、対岸の教室で行儀良く座って黒板を書き写している日本人的には興味深い内容…

インド人って…

11月にローマで世界リーダー会議が開催されることも是あって、現在の世界の話題のハイライトは食料飢餓問題に向いているかのようにさえ思える。クリントン国務長官のスピーチ(10月25日付け「ゴミ屋敷日本」参照のこと)、英国王立科学院のレポート(10月30…

良識不見識非常識

ヒラリー・クリントン国務長官が今後の世界食料需給問題においてバイテク作物の技術開発が不可避であると言及した新聞記事を以前書き留めておいたのだが(10月25日付け「ゴミ屋敷日本」参照のこと)、英国では、最近、王立科学協会が同様のバイテク作物推進…

こどもは健やかに育てたいという考え方さえ一致しない場合の議論は、議論になるのかならないのか

Bad Science.今回はガーディアン紙のコラムの方から。テーマはエイズ否定論。批判対象が外連味たっぷりであるがために、或る意味、筆者の余裕が見て取れる。 http://www.guardian.co.uk/science/2009/oct/24/hiv-aids-link-denialist-spectator-events (仮…