書籍
御近所の留さん「よお、毎度。景気はどうだい。」 右心房書店店主「見ての通り。羽振りが良く見えるかい。」 留「こんなに客が大勢入っていて、結構なことじゃねえか。」 店主「師走だから、確かに店内で物色する連中は多いさね。しかし、この中のいったい何…
今年も本年版の「このミス」が書店に並び、わたくしは半ば義務のように購入をする。 臨時ムック版も含めて二十年弱、創刊号から欠かさず揃えている。 それほどのファンなのかと問われれば、それほどのファンではありません、ときっぱり答えたい。単なる習慣…
この時節が近づくとこちらの国では毎年のように四十七士が大雪後の深夜の討ち入りへと動員にかり出されるように、あちらの国ではパール・ハーバーの呪怨を忘れないように戒めているようではある。 LAタイムズ紙はお約束の如く、今年も関連記事を。 http://ww…
http://www.guardian.co.uk/world/blog/2009/dec/04/ufo-hotline-closes-down-mod (仮訳) ◆UFOを見た?国防省に電話をしてはいけない! UFO目撃者のためのホットラインが最近の不景気の犠牲者に… UFO目撃例、あるいは、緑色の小男や宇宙からの侵略者を調査…
いつもの古書チェーン店で105円文庫コーナーの棚の前に立って、いつものようにぼんやりと本を物色していたわけである。 書店では往々にして見かける光景ではあるが、立ち読みや物色で棚の前空間を独占的に占領し、鎖国制度を決め込む御客様も多い。そういっ…
BAD SCIENCEのBLG亭主が大好きなホメオパスを今日も食卓の上に並べてご機嫌である。 (仮訳) ◆本日のホメオパシーに関する英国議会科学技術小委員会について 本日、私は議会(科学技術小委員会)において、ホメオパシー錠剤のMHRA認可、並びに、NHSのホメオ…
ミステリ好きを自称している手前、鮎川哲也は、おおむねの作品を1回から2回は少なくとも目を通している筈である(しかし、だい作家である●田●夫作品は一冊も完読したことがない、偏向読者の謗りを免れまい)。実写化とは遠い位置にあるかもしれないが、何…
皆の罪を一身に背負って十字架に張り付けられましょうという人間がその後長きに亘り感謝され続けるという歴史的顛末があったように、或いは、誰かは知らねど今人神が毎朝お祈りをして先祖の魂に謝っていることでもって救われる多くの国民がいるのだと街宣車…
世界各地を飛び回ってきたわけでも、全国津津浦浦を巡り歩いてきたわけでもないので、「本当にそうなのか」と厳しく問われたら、「さて、どうでしょう」と自信なさげに答えるかもしれない。それでも、わたくしは、神田神保町の古本街は、世界最高峰に位置す…
昏く沈んだこの季節の空気がわたくしは嫌いではない。 「赤い竪琴」(津原泰水)。きっちり2日で読めた。 「創元」、しかも、「静謐な恋愛ミステリ」といった帯文句から、多島斗志之作品を連想せずにはいられない。しかし、その予想は裏切られる。 4章構成…
「ホック氏の異郷の冒険」(加納一郎:角川文庫)をいつもの古本屋チェーン店でとうとう発見したのである。それも105円。価値を知らないチェーン店には、往々にしてこういう掘り出し物があるので、わたくしの宝探しの愉しみの一つにもなる。 日本推理作家協…
三浦しをんの「まほろ駅前多田便利軒」を読んで考えたのであるが、「LIGHTな内容で、非常に読みやすい」であるとか「映像ドラマ化しやすそう(特に4CHの土9ドラマ、あるいは、NHKの朝ドラ)」であるとか「とても器用な作家」「時代を反映」「ありがちな人物…
学生の頃、研究室仲間と少女漫画を読みあうことがちょっとしたブームになり、仲間内でどれが優れた作品かをランク付けした記憶がある。その際に、どうしようもない水準の作品を「くそマンガ」と呼称し、さんざ扱き下ろし、揶揄をした。著名作で、今でも書店…
高校野球の開会式を見ているだけでウルっときてしまうのは、涙腺周辺の筋肉の衰えか、はたまた、年寄りの冷や水か。 そうは言いつつも、元来のひねくれ冠木者は、例えば、本屋の書棚に並ぶ帯文句や映画の宣伝文句で「感涙必至!!!」と「!(ビックリマーク…
「全国まずいものマップ」(清水義範:筑摩書房)のバスティーシュさ加減がわたくしは好きなのである。最近の世の中の傾向からすれば、過激さを好む向きにはもう少しハチャメチャな味付け加減を所望する者もあるやもしれないが、こういった嘘偽りに塗り固め…
『医学は科学ではない』というセンセーショナルなタイトルの新書が一時期書店の棚を賑わせていたことを思い出すのであるが、時にあれを読んで、「成る程、さもありなん」という部分と、「いやはや、相容れませんな」という部分とが混在したことを思い出す。 …
http://www.cnn.co.jp/fringe/CNN200906240017.html 議員選挙の決戦はサイコロとくじ引きで サウス●コタ州 原宏一の小説「かつどん協議会」という作品集の中に、万事国政を籤引きで決めてしまう『ロトクラシー』なる奇天烈政策を公約に掲げる北関東方面の爺…
「猫の舌に釘をうて」(都筑道夫)。今出版されている光文社のほうではなく、昔の講談社文庫版のほう。勿論USED。本屋で見つけ、何十年ぶりかで読んだ。何十年かぶりだと思う。家人が「本棚のどこかにある筈」だというが、ここ何年かで購入して読んだという…
例えば、昭和四十年代のベストセラー本である「頭の体操」(多湖輝:かつては光文社のカッパノベルズであったように思うが、現在は知恵の森文庫から発刊されているらしい)のようなリズム感ととっつきの良さというのもパズル本として売れる条件なのではあろ…
誰もに好かれるというわけでは必ずしもないものの、読者を選ぶ本を第一に挙げるとすれば、なんと言っても「鉄塔武蔵野線」(銀林みのる)である。 カルト中のカルト。はまった人はとことん好きになる本である。 粗筋は、小学5年生の美晴くんが部下のアキラ…
最近の読書歴は量的にはそこそこ稼いでいたとは言え、メリハリがないと言えばまったくその通りのだらだら滂沱ら読書であった。 読んだ本を以下にリストアップしておく。 たまには星でもつけてみようか(3つ星制)。 ◆「二枚舌は極楽へ行く」(蒼井上鷹) 1…
と或る書き物を読んでいたら、高野長英(1804-50)の話が記されており、興味を引いた。 高野長英については、それまで、幕末の蘭学者でシーボルトの弟子、反体制派で幕府に捕らえられ憤死したといったことしか知らなかったが、相当に興味深い人物の様である。 …
確かにミステリの範疇に含まれるとは思うのであるが、純文学(純愛小説)としても、「錦繍」(宮本輝)に並び賞するほどの名作であるとわたくしが推奨するのが、「離愁(旧題:汚名)」(多島斗志之)である。 多島作品といえば、「症例A」や昨年話題になっ…
「一本の鉛」(佐野洋)読了。 中学か高校の時以来の再読である。 このような古い作品を何故再び読み返してみたくなったのかと言えば、講談社文庫の当時の黒い背表紙が大変に懐かしく思えたから。 この講談社推理文庫シリーズで好きだった作品を3つ挙げろと…