合理主義のようにみえて実はそうでない

http://www.cnn.co.jp/fringe/CNN200906240017.html

議員選挙の決戦はサイコロとくじ引きで サウス●コタ州


原宏一の小説「かつどん協議会」という作品集の中に、万事国政を籤引きで決めてしまう『ロトクラシー』なる奇天烈政策を公約に掲げる北関東方面の爺さんの話が出てくるが(大変に面白かった)、こちらはアメーリカでの現実の話。
町議会議員選挙の決戦投票を籤引きで決めたという、まあ、ありがちと云えばありがちな話ではあるものの、中々に興味深い内容を含んでいるように思える。

そこで23日に特別議会が召集され、集まった支持者を前にベー●ー、ダー●ィス両候補がサイコロを転がした。大きい数字を出した方が、袋に入った2個の石のうち1個を先に取り出す権利を獲得。袋には黒い石と白い石が入っており、白い石を取った方が選挙で勝利するという段取りだった。


顛末は、サイコロで大きな数字を出した人が最初に白石を引いて見事初当選を果たしました、メデタシということですんなり決着している。
しかし、どうもわたくしには釈然としないところがあって、それはこのまどろっこしい籤引きの方法についてである。


白い石を取った方が勝ちというゲームにおいて、先攻後攻の有利さは存在するのかと云えば、白と黒で何か別々の仕掛けがあったりするインキチがあれば別だろうが、数学的には、先攻後攻ともに白を引いてかつ確率は二分の一であるように思う。
しからば、その先攻後攻を決めるサイコロ(出た数字が大きい方が先攻)による前哨戦の籤引きというものは、一体どういう意味を持つのであろうか。
先攻になった方がまず2個の石から1個を引き、仮に、それが黒であった場合は、後攻がもう一度黒石を戻した2個の中から1個を引くといったように、兎も角先に白石を引いた方が勝ちという籤引き方法であったならば、明らかに先行有利とは言えよう。つまり、
先攻:1/2(最初に白石を引く確率)+1/4(2回目に後攻が黒石を引く確率)*1/2(次に白石を引く確率)+…
後攻:1/2(最初に先攻が黒石を引く確率)*1/2(次に白石を引く確率)+1/8(3回目に先攻が黒石を引く確率)*1/2(次に白石を引く確率)+…
この場合、先攻が勝つ確率は75%程度であろうと思う。
しかし、そうではなく、先攻側が黒石を引いた時点で、後攻側が自動的に勝ちという純粋なフィフティ・ルールに則った場合、勝ち負けの運命の選択権を先攻側が握っているという意味において、サイコロでの前哨戦というものがある種の意味を持ってくるのかもしれぬが、あくまで勝負の帰趨の確率で見れば、サイコロの行為は石を引く行為とは独立した、関係のない行為である。即ち、勝負の世界に限定すれば、2度に亘って籤引きなどという面倒な手続きを踏まなくても、という思いを禁じ得ない。
ドラフト会議などでもよく見られるこの二段階抽選法。どうも釈然としない。もっと合理的なシステムがあろうにと常々思うところである。


実は、このようなゲーム本体に関するルール以前の問題点として、そもそものところで気になる表現が目に付いてはいた。それは、

●ピアフィッシュには得票が同数だった場合の規定がなく、決選投票に関する取り決めもなかった。州の条例を調べたところ、候補者が運試しゲームで勝敗を決めると定められていた。


「運試しゲーム」などと書く州の条例も条例ではあるが、決戦投票に関する取り決めがないが為に、慌てて州条例を「調べた」といった辺りが、何やら日頃からの同町の行状の不勉強さ加減というか、いい加減さを象徴しているような気がしないでもない。


本日の音楽♪
「Big bad bingo」(フリッパーズ・ギター