医学

遙か遠い国で

あまり話題に上がらなかったが(日本では尚のこと)、ある一人の政治家(そして科学者)の死を伝える海外電記事である。 ◆マント・シャバララ・ンシマング博士が死去(69歳)。南アフリカの前厚生大臣で、HIVがエイズを引き起こす原因であることを否定した。…

クラックス再び

ホメオパシーに関する英国議会科学技術小委での関係者が一同に会した公聴会の模様について、先のBAD SCIENCEはほんのさわりだけであったが(11月28日付け「不機嫌なファンダメンタリストたち」参照のこと。)、同僚イアン・サンプル記者の手により、ガーディ…

こどもは健やかに育てたいという考え方さえ一致しない場合の議論は、議論になるのかならないのか

Bad Science.今回はガーディアン紙のコラムの方から。テーマはエイズ否定論。批判対象が外連味たっぷりであるがために、或る意味、筆者の余裕が見て取れる。 http://www.guardian.co.uk/science/2009/oct/24/hiv-aids-link-denialist-spectator-events (仮…

奥歯にスルメが引っ掛かる

特定対象者に対する新型インフルエンザワクチンの接種回数に関して、とある政務官(医系出身者)が横やりを入れて見直すこととなった出来事。 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20091020-OYT1T00433.htm 当然のことながら、わたくしには1回で十分事足…

電波のサイクロイドがモノアミン分泌に影響するのだという君の仮説は社会にとって迷惑千万だから撤回したまえ、と財前教授が言ったかどうか

本日取り上げたLAタイムズ紙の科学面は、携帯電話の健康影響に関してである。同社の科学記事は、わたくし自身或る程度「買っている」面があるので、こうした灰色テーマに関しても、メディア特有のあざとい煽り演出の色は極力押さえ込んでいる…その点には、敬…

正常・異常の判断は医学の範囲を超えている

長くて。 http://www.latimes.com/features/health/la-he-borderline7-2009sep07,0,761373,full.storyしかも、少なからず認識が違うかも。 http://kokoro.squares.net/border0.html (仮訳) ◆境界性人格障害が増えている 情緒不安定、見捨てられ感、衝動的…

Creepy-Syndrome

文明の進展なのかグローバル化の所産なのか、耳新しい疾病がどんどん登場をする。それは文字通り新興の感染症であったり、昔からあるにはあったが定義の上で明確化された境界線の疾病であったり、未だに本当にそういう(名称どおりの)疾病が存在するのかど…

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20090813-00000001-natiogeo-int ◆アルコール依存症にクズエキスが有効か ツル植物のクズ(葛)は非常に侵略性が高く、アメリカ南部では異常繁茂することで悪名高いが、最新の研究によると、アルコール依存症患者…

日本人のワクチン嫌いは娘の反抗期のようなものなのか

ワクチン足りない、どうする?と煽る無責任報道がある一方で、ワクチン嫌いという(いちぶ)民の声。とかく日本は面白い。日本人だけでなく、あちら英国でも、駄々をこねている人々が多いらしい。ガーディアン紙の記事より。 http://www.guardian.co.uk/worl…

朝顔の観察日記の如く

久しぶりにBAD SCIENCE。。。 http://www.badscience.net/2009/08/health-warning-exercise-makes-you-fat/#more-1334 (仮訳) サンデー・テレグラフ紙が大変に刺激的なニュースを掲載しているというのに、皆さん、どうして政府の健康情報や専門家のダイエ…

インフルエンザ豆知識

新型インフルエンザに関する報道記事が連日途切れることがない。記事の中では、基本対策(うがい、手洗い等)を励行しましょう、皆さん冷静に、と呼びかけつつもその一方で、どこそこで集団感染発生、死亡者何名といった見出しに、煽っているんだか、有用な…

ジャンクフード課税(後編)

ロスアンゼルス・タイムズ紙記事のつづき。 研究では、大部分がこうしたことを支持する。 実際の価格上昇の影響に基づくいくつかの経済的な研究では、ソーダ、スポーツ飲物及び果物ジュースカクテルに対する10%の課税が8%〜11%程度の消費減を促すものと結…

ジャンクフード課税(前編)

いつものロスアンゼルス・タイムズ紙記事より。 http://www.latimes.com/news/nationworld/nation/la-sci-junk-food-tax23-2009aug23,0,5443030,full.story (仮訳) ◆ジャンクフード税は有効か? 煙草に対する増税は喫煙を抑制する根拠になったが、果たして…

サイモン・シンの次回作が早く読みたい

いつものBAD SCIENCE(09/07/29)より。いつにもまして、めろめろ訳ではある(情けない…)が。 (仮訳) ◆あなたが強くイマジネーションを働かせる以上に、我々には能力があるのです本日、多くのブログや出版物を提供しているオーストラリアの雑誌「Cosmos」に、…

日本の新聞の科学面が一読者をわくわくどきどきとさせてくれない理由

勘違い記者が一生懲りないM紙などとは違って、真当な記事を多く散見できるLAタイムズ紙の科学面より。 http://www.latimes.com/features/health/la-sci-spine6-2009aug06,0,5052115.story ◆脊椎形成術がプラセボ(偽薬)以上の効果がないことを研究で明ら…

名医の前でわたくしは「少しくらい治りが遅くなってもいいですから、もうちょっと診察費をマケてくださるわけにはいきませんかね」と食い下がってみたい

『医学は科学ではない』というセンセーショナルなタイトルの新書が一時期書店の棚を賑わせていたことを思い出すのであるが、時にあれを読んで、「成る程、さもありなん」という部分と、「いやはや、相容れませんな」という部分とが混在したことを思い出す。 …

英国が成る程保守的な土地柄であるということがある意味でよく実感できる報道記事

英国内では結構有名らしい、農薬による健康被害に関する訴訟騒動。 訴えた側の反農薬活動家の名前がよく知られているということだろうか(写真で見る限り、文明的健康的な華やかな身なりの女性ではある)。ガーディアン紙(2009.7.7)より。 http://www.guardi…

サイモン・シンの新作

サイモン・シンの著作を初めて読んだときは、久方ぶりに心の中の或る部分が感動したこと自体に感動をした記憶がある。小説を読んだときに共鳴をする心の中の或る部分とは異なる部分の胸の高鳴りである。 無論「フェルマーの最終定理」がその作品ではあるが、…

啼かないで、チャリ坊

英国皇太子の経営する企業が扱うインキチ・デトックス商品の新聞記事について語った件について(3月16日付け「美容院で「プリンスのような髪型」と注文したら斬新なドレッドパーマではなく、きっちり七・三の刈り上げにされてしまうか?」参照のこと)、'vo…

精神の異常と正常のはざま(DSM-Vに向けて)

2009年5月26日付LAタイムズ紙より。 http://www.latimes.com/news/nationworld/nation/la-sci-mental-disorder26-2009may26,0,3081443.story (仮訳) 精神衛生バイブルを書き直す精神科医たち『一般には「DSM」と呼ばれている精神疾患の診断用マニュアルに…

下らぬサプリメントが不磨の大典にならないために

東洋医学というと中国のそれをすぐに連想してしまうが、インドにも「アーユルヴェーダ」という体系化された医学がある。 わたくしはそれを歴とした医学体系なんだろうと思っているのであるが、それが日本では、日本における医学の大系にきちんとオーソライズ…

はなの季節にびよと啼く

桜の季節が終わると、例年であれば花粉症の憂鬱さからも開放されて、文字通り春の到来を身をもって満喫できることとなる。 今年も塩漬けにしたい見事な晩生の八重桜の散り際を境にして、3ヶ月余も服薬を続けてきた第二世代抗ヒスタミン薬と点鼻薬、点眼薬等…