下らぬサプリメントが不磨の大典にならないために

東洋医学というと中国のそれをすぐに連想してしまうが、インドにも「アーユルヴェーダ」という体系化された医学がある。
わたくしはそれを歴とした医学体系なんだろうと思っているのであるが、それが日本では、日本における医学の大系にきちんとオーソライズされて組み込まれていないが為に、様々な神秘的な(言い換えれば、訳の分からないor怪しい)専門用語を駆使するだけの胡散臭い輩が巣喰う批判の温床になっているような気がする。
wikiでは、こんな解説も見受けられる。

また仮に、ごく少数の志ある人々が、日本国内で正式なアーユルヴェーダを行っているとする。しかしアーユルヴェーダには症状別にエラキリ、ナヴァラキリ、ピリチル、ウドゥワルタナ、パンチャカルマなど40種類以上の治療法があるが、浣腸法などのパンチャカルマは日本では医師しか施すことができない。また最近、ネトラタルパナ(ギーを眼球に浸す)で眼病を引き起こしたり、カーナプラーナ(点耳)で難聴を引き起こす可能性があるため、これらの施術を行っているサロンは医師法に抵触している可能性が多分にある。その他、なんらかの薬事効果や治療効果を謳った場合も同法ないしは薬事法に抵触する。
厚生労働省及び保健所はネトラタルパナ(点眼)は医師違反になるとの見解である。


こうしたアーユルヴェーダに基づく治療法の一つ一つについて、きちんとEvidenced Baseの検証を行っていけば、十分に日本での融合化(受け入れ化)は可能であろうにと素人ながら思っているところに、こんな研究レポートを見掛けた。
http://www.aist.go.jp/aist_j/aistinfo/aist_today/vol09_05/p10.html


アシュワガンダというインドを代表するハーブ薬草(ナス科低木:Withania somnifera)の有効成分(ウィザノン)を抽出して、癌細胞への抑制効果を分子生物学的に検証をしたアプローチである。
例えば、有名なところでは、タミフルの主成分の1つであるシキミ酸は、豚角煮で御馴染みの八角トウシキミ)を原料としているとも言う。
ほとんどの先進国、とりわけ日本における医学の評価系が確立して存在する以上、きちんとした専門誌でレビューを受けた上で、こういった常道の取り組みが積み重なっていくことがアーユルヴェーダをアヴェイラブルなものにしていく上で遠回りなようでいて、実は王道なのであるとわたくしは思う。
なお、声高に主張をしている一部の胡散臭い輩は現存体系(要すれば彼らの批判するところの西洋医学大系)に巣くう寄生虫的存在と考えた方が分かり易い(敵あっての物種、宿主が消えれば声高の意味を喪うとの意でもある)。したがって、上記のようなヴァリデイト作業によって、彼らの活動領域が次第に狭まっていくのは必定である。


(補筆)
では、当のインドや中国はどうなのか、西洋医学との融合の方向性にあるのか、という疑問が起きようが、彼らは彼らでやはり咀嚼して自らの体系を維持しているようにわたくしには見える。新型インフルエンザ専門の特効漢方薬があるようなフェイクな書き出しはどうかと思うが、中国の医学大系と西洋医学大系との矛盾は起こしていないようにわたくしには思える。
http://www.asahi.com/international/update/0513/TKY200905130203.html


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