お笑いネタに知財権がないのはどうしてなんだろうと思いながら、本日のテーマはポスドク芸人

ロッチの中岡君が少年少女の阿部ちゃんにホの字であったことを知ったときは、密かにどちらのファンでもあったわたくしにとって、少々ショックな出来事ではあった。陳ねた二人のカップルを見たいような見たくないような(…やっぱり、見たくない)。
そんなどうでもいい話は兎も角として(一応当事者の健闘だけを祈っておく)、所謂ポスドク芸人という真面目ネタ。日本でもこんなコメディアンが現れたら、恰好のリテラシー教育になるのだろうか。
http://www.nytimes.com/2009/12/15/science/15comic.html?_r=1&em


※ちなみに、英国では、このようなコメディミュージカルが(→ Nine Lessons and Carols for Godless People)
http://www.ticketmaster.co.uk/Nine-Lessons-and-Carols-for-Godless-People-tickets/artist/973189

◆元科学者芸人の話をきいたことがありますか?
 生物学者がコメディクラブの中に入ってゆく...
 この話は過去に遡る。学界を捨て、サンフランシスコでチャールズ・シュワッブ社のコンピュータープログラマーとしての雇用契約を得て働く生物学者がコメディクラブLaundromatの中へと入ってゆく...
 元生物学者の名前は、ティム・リー。カリフォルニア大学サンディエゴ校で生物学の学位を修得した後、彼は、興味或る仕事をするために必要な博士号を修得しようと思う前に、しばらくの間、スクリプス海洋学研究所で働いていた。しかしその後、彼がカルフォルニア大学デーヴィス校で博士号を終えようとする頃には、学界を嫌う自分を自覚するようになっていた。
 「僕は、もうこれ以上論文を読みたくはなかったんですよね。」リー博士が言う。「もうこれ以上論文を書く気にもなれなかったし。」
 その後、リー博士はコンピュータープログラマーとして働き出す。彼は、サンフランシスコへと引っ越した。休暇の間、彼は、ビル・コズビー、ボブ・ニューハート、ジェリー・サインフェルドといったコメディアンの回顧録を読み始めた。そして、彼は笑い話のネタをいくつか書き始めていた。
 それから、彼はLaundromatに飛び込んだ。そこは、笑い話のネタを披露したい者全てに開放する飛び入り参加のショウタイムを夜間に設けていた。リー博士は、およそ1ダースほどのネタを披露してみた。観客の中でわずか4,5人ほどが笑ってくれた。だが、それはどんな励ましの言葉よりも彼にとっては十分なものだった。
 リー博士は、より多くの笑い話のネタを書き始めた。そして、くだんの飛び入り参加に足繁く通った。彼は、カリフォルニア州サンタクルスのコメディクラブから35ドルの出演料を定期的に得ている。そこに至るまでの間に、彼は科学ジョークをネタにし始め、パワーポイントで上質のコメディを作り上げる方法を作り出した。
 サンフランシスコ湾岸地区で自称「地上最大の科学コメディアン」と呼ぶブライアン・マーロウと副業でスタンダップコメディを実演する物理学者のノーム・ゴールドブラットが、長い間科学ジョークをネタにコメディを行ってきた。
 マーロウ氏が言う。「それは科学という言葉の響きほどには制限的なものではないのです。何でも有りなのですね。」
 それでも、マーロウ氏は、時々脚注を付け加える必要があるとも言う。彼が言う1つの冗談がそれである。「私はその昔、天文学者でしてね。けれども、昼間勤務シフトであったために、行き詰まってしまったんですね。」
 マーロウ氏は言う。「より知識豊富な観衆がいれば、その冗談が太陽や電波天文学者にとって不快でありえたことを指摘しなければならないのでしょうねえ。」彼らは、日中働いている。そして、現在では、多くの望遠鏡が遠隔操作できることから、光学望遠鏡を使っている天文学者さえ昼間勤務で多くの仕事をこなしている。
 「そうした冗談は、魔法のようなものなのですね。」と、マーロウ氏は言う。「私達には天文学者の伝統的なイメージというものがありますよね。理屈で言えば、天文学者は夜間に働かなければなりません。だから、面白いわけですね。」
 マーロウ氏は、科学コメディ分野がさらに成長するだろうと言う。「それは、全然隙間の分野なんかじゃありませんよね。凄く広がりがあります。例えば、『じゃあ脾臓についてのネタを話しましょうか。』とか。」
 しかし、彼らが、Laundromatへの飛び入りから7年たって、ニューヨークの「グラマシーの猿」と呼ばれる小さな会場でのデビューにおいてリー博士が用いた線形後退や海洋酸性化といったネタは、これまでめったにスタンダップコメディのネタにはならなかった類のものだ。(彼は、そこでのショーを2夜行うために、今週、ニューヨークに再び戻ってくる予定である。)
 「僕のネタは、セミナーのパロディのようなものなんです。」と、彼が言う。「僕のお客さんたちって、ちょっとおたくな14歳からちょっとおたくな65歳までの人たちなんですよね。」
 彼は、線形後退のネタを話し始める(YouTubeに猫のビデオを貼りつける人々はどんな連中なのかという考察について)。カオスが二倍になるネタ(酔えば酔うほどに人々の行いが分裂気味になってくることに例える)。ハイゼンベルク不確定性原理
 彼は、量子物理学の基本的な概念について説明を始める。小片の正確な位置を測ろうとすればするほどに、小片のモメンタムが喪われていく、そして、その逆もまた同様であると。その際に、小便器の上にテレビ画面がついた男子トイレの写真を用いる。リー博士は言う。この写真を作ったデザイナーは「明らかに、不確定性原理を理解していなかったですよ。」
 彼は続けて言う。「問題は、テレビについて僕たちがわかっていることは何かということなんですよ。僕がどこの何に狙いをつけているのか、わからせないようにすることがポイントなんですよ。」
 リー博士にとっての最優先事項は、科学を教えることではなく、愉しませることなのだと言う。だが、「うまくいった時には、その何かの胆を掴んでしまうわけなんですね。」
 何人かが言っているように、ユーモアが不合理を加えた真実であるならば、そして、科学が真実を明らかにすることであるならば、「僕がしなくちゃならないのは、それに不合理を加えるということですよね。」彼は言う。
 だが、すべての科学が等しく不合理であるというわけではない。「行列代数のジョークをしようとしてみたんですけど…」リー博士が言う。「全然駄目でしたもんね。」
 およそ200万回も見られているYouTubeのリー博士の滑稽ビデオに遭遇したスティーブン・ボディ氏は、初めて直接彼に対面するために、ロングアイランドからマンハッタンに向かった。ボディ氏は言う。「とても脳ミソを使うコメディですよね。けれども、とても現実的でもあるわけです。」
 観客達の声があまりに騒々しくなって、整理のために用心棒が雇われ、見物人の一人が不満を言って、警察が呼び出されてからは、水曜日にもショウが行われるようになった。
 「ネタに関しては、多くのアイデアがあるんですよね。」リー博士が自らの博士論文を擁護するためではなくと、言う。「コメディのためには良い訓練になりましたけど。残念なことに、僕の論文擁護のために警察を呼ぶことはできませんでしたけどね。」
 生物学者は、コメディクラブの中へと入ってゆく。どのようなオチで今回の物語を終わらせるか。リー博士は悩んだ。そして、彼はちょっと考えさせてねと言った。
 その二日後に、彼から電子メールメッセージが送られてきた。「生物学者は、コメディクラブの中に入ってゆく。クラブのオーナーが尋ねる。『君がこのクラブを選んだ理由は何かね?』生物学者が答える。『自然選択です。』」

訳が下手すぎてうまいオチが書けない。とほほ。



本日の音楽♪
「one,two&go」(伊藤ふみお