長い文章に目を投じることもひとつの先行投資と言うことで、オバマ大統領、如何でしょうか

オバマ政権の原動力となるべきイノベーション政策に関して、先頃行われた(といっても少しばかり旧聞の類)大統領の講演録をストックしておこうと思う。
場所は、とあるコミカレ。公立の職業訓練短大とでも言えばよいか。

(仮訳)
◆技術革新と持続可能な成長(大統領講演録)
日時:2009年9月21日11:57〜
於:ニューヨーク州トロイ市ハドソンバレー・コミュニティ・カレッジ

オバマ大統領:ありがとう。ハドソンバレーの皆さん、こんにちは!(拍手)どうもありがとう。ご着席下さい。どうもありがとう。素晴らしい会議に招いていただき、とても嬉しいです。天候を調整してくれた人たちにも感謝します。(笑)
 まず始めに、ジル・バイデンに感謝の言葉を述べたいと思います。彼女は、ほぼ30年の間教職を務められ、コミュニティカレッジでその時間の殆どを過ごしました。彼女も認識しているとおり、学生諸君が21世紀に対応するため、そして米国が21世紀におけるグローバル経済に対応するためには、皆様方の機関こそがその原動力になるということであります。それは正にこのハドソンバレー・コミュニティ・カレッジで行われてきたことであります。皆様方により大きな拍手を贈りましょう。(拍手)
 ジルに加えて、皆様方に紹介したい特別ゲストがここにおられます。まず第一に、ニューヨーク州知事デイビッド・パターソン。(拍手)内気な司法長官アンドリュー・クオモ。(拍手)アンドリューは、奨励すべき法律を施行するすばらしい業績を残しています。
 財務監督官トーマス・ディナポリ。(拍手)演者シェルドン・シルバー。(拍手)民主党リーダー、上院議員ジョン・サンプソン。(拍手)オールバニー市長ジェラルド・ジェニングズ。日々すばらしい業績を残してこられた3名の著名な議員(拍手)モーリス・ヒンチェイ、ポール・トンコウ、スコット・マーフィー。彼らに大きな拍手を。(拍手)
 ハドソンバレー・コミュニティ・カレッジ学長のアンドリュー・マトナク。(拍手)発音は正しかったでしょうか?そして、共に愉しい旅をしたテック・スマート社のジョー・サルビ専務取締役。(拍手)

 さて、皆さん方はまずお尋ねになるかもしれません。どうして、このハドソンバレーを今回の講演場所に選んだのか、と。その理由は、もう一つ上の新しい水準にキャリアアップしたい、あるいは、全く新しいキャリアを持ちたいといった願望をもつ誰もにとって、その夢を追い求める機会がこの場所であるということがここを選んだ理由であります。ここは、あらゆる年齢や背景を持った人々、個人的に非常に難しい挑戦に直面している人も、障害に直面している人も、誰もが自らの家族のためにより明るい将来に向けた挑戦ができる場所なのです。
 私は先程までちょうど部屋にいたトロイの市長と話をしていました。その際、我々が写真を撮っていた部屋で彼がどのように微積分学を勉強していたかについて話したりしていました。私は微積分法を習ったことがないことが彼にばれてしまいました。(笑)しかし、彼こそは、皆様方がこのような機関のお陰で可能性を掴むことが出来るというよい見本になるでしょう。
 そして、私はここトロイで、皆様方が長年の努力の末にそのチャンスを掴むことを渇望していることを知っています。このようなコミュニティは、かつての米国のものづくり力の核心でした。しかし、この二、三十年にわたって、多くの製造工場が国際競争に晒されて閉鎖されていくという経済の変化の矢面に直面してきたわけです。そのため、米国全体が現下の経済危機にひきつけられる一方で、ここトロイや北部ニューヨークの人々は、長い間ほとんど恒久的ともいえる不況に苛まれてきたわけです。故郷からは益々多くの若者が離れていく不況なのであります。
 私はまた、多くの人々がより良いニュースを聞きたくてここにいらしている一方で、今日ここにいるリーダーやそうではない多くの人々の断固とした努力にもかかわらず、そのニュースが得難いものであるということを知っています。その理由の一つは、この町の人々が自らの責任を果たすために一生懸命に働く一方で、ワシントンの連中が必ずしもそうした声を反映してこなかったことを率直に認めなければならないということであります。
 それほどに長い間、古い境界と特別な利益が支配していたため、ワシントンは最も厳しい挑戦に取り組む意思もその能力も示そうとはしませんでした。一方、企業は常に右肩上がりであった保健医療費の負担を背負ってきました。経済は、外国産の石油に対する依存を増しながら弱体化してきました。最先端研究への投資は、落ちこみました。学校は、さらに不足しました。成長は、短期的な収益にばかり目が向き、負債と向こうみずなリスクが貯えられていきました。そして、それは急激な膨張と手痛い破滅のサイクルへと至ったわけです。
 そして一方で、ワシントンの多くの人間は、それを傍観したままでした。さて、こうした長年にわたる失政の後、現在、政府が実施可能なことや異なる政策を示すべきことが本当にそれほど多くはないのだと示唆する声があります。トロイのようなところで起きていることは回避不能であるという声。あるいは、二十世紀に最先端を走った我々の国の一部は、我々を先頭にさせるための力として必ずしも必要ではないという声。私は、そういった声が全くの間違いであることを皆様方にお話したいがために、ここにいるのです。我々がこのコミュニティで持っているものは、優秀な人々、企業家、国際的水準を備えた学習機関であります。(拍手)成長と成功、そしてよりよい未来のために必要な要素はまさにここにあるのです。
 若者は、その証明です。皆様方は、ハドソンバレーにその権利があることをここで証明しています。学生諸君は、シュネクタディGEエナジー社でパートタイムで働きながら、米国製造業の新世代のリーダーになるべく、フルタイムで訓練を受けています。IBM社は、オールバニーで大学と連携します。ナノテクノロジーに関する彼らの連携は、米国が世界を先導する可能性がある産業界の中で学生が訓練を受けるのに役立っています。レンセラー社は、この機関だけでなくテック・バレーを通した企業とも連携をしています。そして、来年始めには、ハドソンバレー・コミュニティ・カレッジの最高水準であるテック・スマート社の訓練機能は、グローバル・ファンダリー社の来たるべき最新技術の半導体設備と並び賞される設備が整っています。(拍手)
 我々は、最先端を行くニューヨークが成功する可能性があることを知っているように、製造業の中心地である中西部にもその可能性があることを知っています。彼らは現在機械を取り替えて、再び技術革新に取り組んでいます。我々は、その可能性があるということを知っています。我々は、失敗の余地がなく、無駄を生む余地の場所が許されない、このグローバル経済において、米国が成功するために皆さん方を必要とするということを知っています。
 我々が現下の経済危機から抜け出すべく、我々が未来に流されることなく、我々の子供たちのために受け入れられないことのないように、そして、米国に受け入れられないことのないように、我々のすばらしい挑戦が促進されていかなければなりません。我々は、過去の世代が行ったことの代わりのものを選択しなければなりません。激務と技術革新を通じた輝かしい未来を形づくるために。それは景気回復するだけの手段ではなく、我々が以前より強固になるための方法でもあります。グローバル経済で競争するのに十分な強さを備え、多大な荒廃をもたらしたバブルを回避するための強さを備え、未来の産業が雇用を新たな創出・支援する強さを備えていることが必要なのであります。

 そこで本日、私の政権は、技術革新の潜在的可能性を最も効率よく利用するための基盤と基礎的ルールを整えることによって、新たな雇用やビジネス、産業を育成するため、イノベーション戦略を発表しました。この作業は、数ヵ月前の作成した経済再生計画から始まったものです。その中で、ハイテク教室から健康情報技術まで、省エネハウスから高燃費車まで、スマートグリッドビルディングから高速鉄道まで、1000億ドル以上を技術革新に注ぎ込む計画になっています。
 しかし、我々の努力は、それだけで終わりません。この戦略は、再生計画を遙かに上回るものなのです。それは持続的な成長と広く共有された繁栄を目指します。そして、それは単純な考え方に根ざしています。政府が適切な側につけば、世界がこれまでに知っている、最も強大な経済の原動力、即ちそれは米国民であって、それを止められないということであります。
 我々の戦略は、技術革新が頻繁に、教室で、研究所で、より幅広い経済に接続するネットワーク上で行われることを支援します。これらは、教育、基盤、研究といった技術革新の素となるものです。
 我々は、今日、教育に力を入れない国が将来競争に負けることを知っています。新しい産業の能力は、それらの分野で貢献するための知識とノウハウを持った労働者に依存されましょう。残念なことに、今日、特に数学と科学という重要な領域において、我々の初等・中等学校は、多くの競争相手を追随し続けている状況にあります。あまりに費用がかかりすぎるために、大学進学を希望する何十万人もの高校卒業生は4年または2年制の学校へ行けません。お金に困っているのです。そして、大学に入学した学生のおよそ40%は、大学を卒業できません。長い教育パイプラインの中で、あまりに多くの人々が、優秀な多くの若者達が、障害に躓きます。それは、学生にとっての不幸というだけではありません。我々の経済とこの国にとっての損失でもあるのです。
 私は、長い間、政治家が教育訓練について、銀の弾丸であるとか、万能大学の話であるとかいうことを話してきたことは承知しています。しかし、それはそうではないのです。私は、それがそうであると偽りたくはありません。我々は知っています。来年になれば、連携を必要としている仕事が大学経験を必要としていない仕事の少なくとも二倍のスピードにもなるという予測を知っています。二倍も速くなるということについて考えてみて下さい。我々はそれらの仕事に不適格である、あるいは、コミュニティカレッジからを含む何百万人もの卒業したより多くの学生なしで、この国でそれらの仕事を行い得ないのであります。
 そういうわけで、私はバイデン博士に対して、コミュニティカレッジが提供する機会をより促進していただくべく国内行脚をお願いしました。そのために、私は本日お越しになることはできませんでしたが、チャック・シューマー上院議員がこの問題に関して相当なリーダーシップを示したことに感謝申し上げます。そして、そういうわけで、私はこの野心的な目標を定めたのでした。2020年までに、最高水準の世界の学士の多くがもう一度米国にやってきます。(拍手)我々は、かつて一番だったのです。再び一番にならなければなりません。(拍手)
 このゴールを達成するためには、意欲或る学生、意欲或る家族、意欲或るコミュニティ、彼らの側に立つ地元のリーダー、彼らの側に立つ州のリーダーを必要とします。しかしながら、連邦政府も同様に、その側に立ちます。
 このゴールに達成するために、我々は、ペル基金を増額するとともに、大学授業のために簡略化された2,500ドルの税額控除を構築しました。我々は、学生援助アプリケーションをより複雑化しないようにしつつ、その援助が失われた仕事の収入に基づかないという目的をはっきりと明記しました。私はたくさんの声を聞いています。彼らが私の所得税を見ているので、私はいかなる学生援助も得ることができません。
 我々は、新たな経済と生活を開始するイラクアフガニスタンから帰って来る兵士を支援するG.I権利章典を議会通過させました。(拍手)そして、経済再生計画は、州の予算不足を助けました。我々が初等・中等学校への歴史的な投資を行う一方で、それらの予算不足が公共大学とコミュニティカレッジに大きな圧力をかけていたことを、知事達が証言してくれると思います。我々は、州政府が現在も将来もとても重要な教育基盤を大幅に削り込むことなく、この非常に厳しい期間を乗り越えるための支援を続けています。
 私が提案した米国版グラジュエイション・イニシアチブを通して、最終的には、今後十年間に追加的にさらに5百万人の米国民に支援を行うべくコミュニティカレッジを改良強化する予定です。(拍手)技術革新の新世代は、革新を起こす者の世代に委ねられているのですから。
 そして、ちょうど先週、下院は、より多くの人々が大学を目指すことができるように、学生ローンシステムを改革するための議案を可決しました。今日から、連邦政府は、学生にお金を貸しつけるための助成金を銀行に提供します。このことは、連邦政府も学生が返済できない場合にローンを保証するということです。たとえ納税者があらゆるリスクを吸収しているにせよ、我々は、学生にローンを貸し付けるリスクを引き受けるために銀行に助成金を支給しているのです。それは、あまり意味がないことです。そのための費用として800億ドル以上かかります。我々がちょうど仲介者である銀行を外して、学生に直接貸付けるならば、連邦政府にとってはお金の節約になるでしょうし、実際に重要なことである、学生が大学生活に余裕をもって、成功のための援助ができることでしょう。(拍手)
 この議案に関して、皆さん方の地元議員が皆さんのために何をしているかよくわからなかったことがかつてもあったでしょうということを、私は強調したいです。ちょうどこの場におられる3名の方々は、若者のために働いておられます。我々は、上院議員にも同じように行動することを希望致します。(拍手)彼らが投票した議案、つまり私が提案した議案が目指すものは、ここにあります。銀行が得た800億ドルと、ペル基金をより拡充するために、この予算案を使います。大学に入るだけでなく、卒業するための学生に対して、革新的な努力に集中するための資金にこれを充てます。そして、正に重要なことは、これらの蓄財によって、これまでに我々の教育制度で最も正当に評価されてこなかった遺産に最も大きな投資をするということです。それは、ハドソンバレーのようなコミュニティカレッジです。そして、それは我々の若者の未来にとって必要不可欠なものなのです。(拍手)このことから、我々は、上院でこの議案をより改善して、学生に代わり、審議が進むことを望みます。
 大銀行のためのこの保証のない助成金を終えることは、ワシントンの一部の人々以外の至る所で、人々の多くの支持を得ています。実際のところ、彼らはすでに、この証拠を保存するために特別な利益が回復していることを知っています。そして、大銀行の、財政危機の際に納税者からの緊急援助によって利益を得た多くの人々は、このあぶく銭を維持するために議会工作を行っています。このことは、正にかつて彼らが成功した特別の利益そのものであって、我々としてはそれが再び成功することを許しません。これは、国民と政府を引き離し、我々の国が何兆ドルもの赤字と負債を抱えたままにしておく無駄以外の何物でありません。
 そういうわけで、私はワシントンに行き、それを変えました。(拍手)そして、我々が下院で勝ったように、上院でもこの戦いに勝って、法律に署名をしたいと思います。(拍手)

 さて、トロイのようなコミュニティで教育、企業家精神、技術革新を強化するためのもう一つの鍵は、インターネットの力を利用することです。それは、我々が第一にインターネットで栄えるに至った公正さと開放性を保持するルールと同様に、より速く、より広く、利用可能なブロードバンド構築することを意味しています。本日、FCC会長のジュリアス・ゲナチョウスキ氏は、すべての米国民が参加することができて、利益を得ることができる開かれたインターネットを維持するための諸原則を発表しています。そして、私はこの試みを歓迎します。(拍手)それは、我々が行動するための重要な役割になるものです。そして、技術革新を刺激する基盤的ルールとなるものです。技術革新を刺激するとともに、技術革新を希求する全ての人々が活躍する場の設置を促す共通の基盤的ルールを創設することが政府の役割でもあります。
 そして、我々は、今日必要とするネットワーク、そればかりでなく、明日必要とするネットワークについて、考えていかなければなりません。そのために、私は、全米科学財団(NSF)と米国国防総省高等研究計画局(DARPA)を通じた補助金を提案しました。これは、それらがたとえ何であるにせよ、次代の通信の発展を調査すべく、インターネット開発の支援を目的としたものです。そういうわけで、私は初代の主任技術委員を任命しました。彼は、政府がより良くより効果的な仕事をすることを助ける技術革新を刺激する技術の探索を任務とします。

 我々はまた、何十年もの間放り出されていた基礎研究を含む研究への関与を強化しなければなりません。(拍手)それは常に米国の成功の秘訣の要因の一つとなるもので、更なる経済成長に拍車をかける次代のすばらしい発明やすばらしい技術を産み出す研究により多くのお金を注ぎ込んできたわけです。
 尤も、実際のところ、基礎研究は必ずしもすぐに成果をあげるものではありません。長いこと成果をあげない可能性もあります。そうであっても、報酬は概してしばしば共有され、それを支えた人々ばかりでなく、その基礎研究に掛け金を払わなかった人々にも享受されます。
 このため、民間部門は一般的に基礎科学への投資が過小です。したがって、公共部門はその代わりに投資をしなければなりません。リスクが大きい可能性がある一方で、我々の経済社会にとっての報酬も大きいわけです。つまり、それがある日太陽電池板につながる光電効果の基礎研究なのだと思って下さい。X線体軸断層写真を生む物理学の基礎研究であるわけです。今日のGPS衛星の計算は、アインシュタインが1世紀以上も前に紙に貼り出した方程式の基礎研究に基づいているのです。誰もそれがGPSにつながることを予測していませんでしたが、我々の知識を進めて、それが我々社会の進展を支援することを彼らは理解していたのでした。
 我々が研究投資に失敗することは、未来への投資に失敗することであります。それでも、1960年代の宇宙開発競争のピークから、研究開発に対する我々国家の関与は、国民所得対比で着実に落ちていきました。このため、私は我々の国民総所得の3%を研究開発費に投じる目標を定めました。これは、ケネディ大統領がこの国の男性を月に行かせるよう要求した当時を凌ぐ水準です。(拍手)
 この目標に向けて、経済再生法は、歴史的にみても、基礎研究の最大の増額を成し遂げることを支援しました。今月、国立衛生研究所(NIH)は、ガンから心臓病まで、何百万人もの米国民を襲う病気を治療するためにヒトゲノムのマッピングから学ぶことができることに焦点を当てた経済再生法を通じて、10億ドル以上の研究補助金を用意しました。その創造以来、それがその当初のインターネットから見えない最先端技術の進展の源であったことから、私も議会に対して米国国防総省高等研究計画局(DARPA)にも資金を助成するよう主張しようと思っているのです。

 我々が教室から研究所まで技術革新の素材に投資することと同様に、技術革新を促進し、競争的で力強い市場を持つことも重要なことであります。教育と研究は、新しいアイデアを産み出す手助けとなりますが、それらのアイデアを産業に変えるためには公正で自由な市場が必要です。
 私の予算は、最終的に研究と実験に係る税額を永久に控除します。これは会社が新しいアイデア、新技術、新製品を開発するためにしばしば高いコストをもつ余裕を与えてくれる税額控除であって、それは新しいビジネス創出を意味します。そして、この税制上の優遇措置は、我々が使った1ドルが2ドルの経済になって戻ってくるのです。再三再四、私はそれがどれくらい重要なことなのか、シリコンバレーからテクバレーまでの指導者から説明を受けてきました。中小企業が革新的な企業であることから、私は小規模又は新興企業への投資のために資本利得税をゼロに下げようという提案も行いました。彼らは、大企業に比較して、従業員1人当たりで13倍もの特許を産み出しています。(拍手)
 これら税制上の優遇措置は、企業家精神を刺激します。しかし、リスクを引き受ける者や我々の成功の中心に常に位置するアイデア発案者を評価し、市場価値を増進させるためのもう一つの重要なステップがあります。そのために、我々が貿易法を強化し、海外市場を開拓するために我々の取引相手とともに働くことを強化することが重要なわけです。我々の知的所有権システムを改革し、強化するために、我々の優位点を維持するために、世界中から最も明瞭な頭脳を招くために、財政危機の結果として不足した信用と資本の錠を開けるために。

 我々が米国のリーダーシップを確実にするために、そして21世紀までその繁栄を継続させるために取り組まなければならない技術革新と経済成長に対して、基本的な障害があります。国として、外国の石油に対する我々の依存を断ち切ることから、全米国民に良質かつ入手可能な健康管理を提供することまで、巨大な難問に直面しています。我々は、技術革新によって気候を調節するための挑戦に臨まねばなりません。技術革新は、そして、我々がこれらの挑戦に合致する方法の重要な部分でありえます。
 そこで、保健医療費の例を挙げましょう。大企業と競争をすると、不利な中小企業は退場します。そして、世界中で競争をするとき、不利な我が国の大企業は退場をします。我々は、健康保険を失うのが怖いことから、企業家になることができない、彼らの夢を実現できない、中小企業を創業できない数多くの米国民による膨大なコストというものを知らないのです。グローバル経済をリードするために、我々は健康保険改革を実行しなければなりません。コストを下げて、より多くの安心を保険がある人々に提供して、健康保険がない人々にオプションを提供するのです。(拍手)健康保険改革は、ビジネスに、特に中小企業にプラスに働くのです。中小企業に、です。
 一方で、我々が今年始め議会通過させた経済再生計画は、我々の保健制度を近代化させ始めました。したがって、技術革新は誰にとってもコストダウンを助けるものなのです。 我々は、米国の健康記録をコンピュータ化するための手続きをとっています。そして、これは何億ドルものお金と何千人もの命が犠牲になる無駄とエラーを減らす可能性があります。その一方で、患者のプライバシーを保護します。そして、同様に、我々自身の医療記録がデジタル化されて記録されるということがとても重要で、患者に病気の予防と治療への活発な参画機会を提供する可能性が考えられます。そして、健康情報技術は、効果的に実施されるならば、我々がまだ集めていないデータを提供したり、病気を治療する方法に関する予測不可能な発見をする可能性があり、それほど多くの予期しない利益の錠を開ける可能性があるのです。
 エネルギーについても同様です。エネルギーを発生し、使い、節約するための新しい方法の開発において、技術革新を必要としないところはどこにもありません。皆様方は、ここハドソンバレーでそのことをよく理解しております。私は、クリーンエネルギー経済を導く国がグローバル経済を導く国であると確信しています。(拍手)
 そういうわけで、我々は、再生可能エネルギーを発生させる能力を二倍にします。そして、より強くてより高性能なスマートグリッドを造り上げます。私は彼らがこの高性能なグリッド作製に意欲を燃やす、ちょうどここで訓練されている一部の若者に会ってきました。
 我々は、クリーンエネルギー・ビークルの新世代の原動力となるために、技術に投資します。我々は、燃費基準を上げる合意に達するための支援を行いました。そして、歴史上初めて、我々は、再生可能エネルギーとして有益な種類を製造することを支援するクリーンエネルギー・インセンティブシステムを作成するための議案を可決しました、その一方で、石油に対する依存を見直し、将来の世代のためにこの惑星を守るための支援を行いました。この議案は、下院を通過しました。我々は、現在、上院で法律を可決するために働いています。今こそ可決させる時です。(拍手)我々は、エネルギーで先導しなければなりません。我々は、一刻の猶予も赦されないのです。(拍手)

 以上が我々の戦略の概要です。これらの部品は、全て整合しています。今日の経済再生以上に、明日への反映にとってより重大な不可欠の戦略であります。それが我々の歴史でもあることから、難題に立ち向かって成功するこの国の能力に対する深く不変の信頼に根ざしている戦略なのです。我々は、発明と大胆さの才能に関して、一見無限の供給源となる一人であります。我々の政府は、賢くも、邪魔にならないよう、それらの特性を利用しました。
 彼らは、エリー運河の建物に辿り着きました。そこは、トロイなどの都市を地図上で目印にするのに役立ちました。それは、東西を結び、自由に途切れずに続く商業と競争を許容したのでした。それは、かなり優秀な発明者とトマス・エディソンというかなり優秀なビジネスマンをシェネクタディに呼び寄せ、今日、ジェネラルエレクトリック社として知られる繁栄するファミリー経営の扉を開けさせたわけです。(拍手)
 ニューヨーク州の前上院議員であったロバート・ケネディー氏は、かつて我々にこう話しました。「未来は、贈り物ではありません。それは、過去からの業績なのです。」偶然ではない、贈り物でもない、20世紀の米国を導いたものがそれだったのです。激務と訓練と犠牲の結果、そして、共通の目的にかなう野心の結果、もたらされたものであったわけです。21世紀もそうでなければなりません。未来の成功は、保証されていません。米国民 として、我々のリーダーシップが過去の遺産ではないことを常に頭に思い浮かべていなければなりません。それが責任なのです。
 このため、バイオテクノロジーからナノテクノロジーまで、新エネルギーの開発から昔ながらの疾病の治療研究まで、それだけの可能性が我々の世界を変えて、我々の生活を改善し、その一方で、米国中で限りない雇用を創出するためにあるのです。 我々がもう一度世界のリーダーになれる準備ができているならば、問題は我々自身がその可能性を受け入れる準備ができているかどうかということなのです。
 我々は既に準備ができていると思います。 私は、米国の至る所でそのすべてを見てきました。この世代、ここに座っている若者の世代、彼らには他に類のない機会があります。 我々は、彼らがその機会をつかむのを手伝うことが求められています。それは、皆様方がここハドソンバレー・コニュニティ・カレッジでしていることです。それは、我々がワシントンで行っていることを確認してみるということなのです。それは、我々が国としてすべきことなのです。
 ご静聴、どうもありがとう。皆様とこの国に神の御加護がありますよう。(拍手)

果てしなく長い割に、イノベーションに関する肝心の中身が濃密なのかというと、そちらは本体そのものを読んだ方が早いということだろう。講演は、大統領のハートが主眼。
日本も新政権になって早速「グリーンイノベーション」とかいうことで、EU含めて、世界全体がイノベーション合戦だ。イノベーションに関しては種々議論があるように、どの分野に重点を置き、どのような環境整備を図るか、の2本立てでどこも進むのであろう。
わたくしが、個人的に、いつもよくわからぬことは、何に重点を置くかという意思決定を誰が行うのかというそのプロセス。論文査読のようなものと違い、未知への投資部分もあるわけで、専門家だけでその真贋が判断できるとはとても思えない。しかしながら、どちらかというと、この国では、その先行投資の目利き役をも専門家に丸投げしている感がなきにしもあらず。そういう嗅ぎ分けっていうのは、科学者は本当に得意なのか。政治家の方が得意かもしれない。(全員が全員そうだという話では当然無い。)
今の御時世でしたら、例えば、太陽電池燃料電池あたりが誰もが飛びつく領域ではないかしら。競争者が増えて鎬が削られる(ピラミッドの頂上がより高くなる)という理屈も分からぬでもないが、その分、分け前はどうなるんだ、とわたくしは思う。太陽電池にしろ、燃料電池にしろ、かつての超伝導にしろ、環境ホルモンにしろ、最近のIPSにしろ、何だかアカデミーってとてもミーハーで節操ない気がする、と揶揄をする部外者のわたくしであった。


本日の音楽♪
「息子」(奥田民生