夢をかなえるゾウ科学者

時代の波は、海洋バイオマスなんだそうである。
http://eco.nikkeibp.co.jp/high-ecology/column_kashiwagi/07/03.shtml

海洋バイオマスと海洋都市構想/エネ・水産資源問題を解決する海洋コプロダクションシステム

著名な学者先生たちが海洋バイオマス構想を打ち出している。
要すれば、産生・民生部門から排出された二酸化炭素を海水に溶かし、そこの海でもって海藻類を効率よく育ててバイオマスエネルギーをコジェネ化するという構想。

海洋バイオマスにおいてキーテクノロジーとなるのは、CO2を海水中に溶かし込む溶解技術や、藻類を高効率に養殖する培養技術である。例えば火力発電所から排出されるガス中のCO2濃度は約14%で、大気中の濃度の約400倍に相当する。これを海中に溶かし込んで藻類の光合成を促し、いかに低コストかつ大量に生産できるかが重要となる。


恰好よい言葉で誉め称せば、「ダイナミックな構想」。口悪く言えば、「大風呂敷」(そういう系列の人を多く輩出している風土のある大学ではある)。どちらにせよ、チャレンジングな姿勢だけは大したものであると褒めて間違いない。
但し、想像力の乏しいわたくしには、その海洋での物質循環のイメージがよくよく分からない。例えば、火力発電所から排出された二酸化炭素を海中に溶出させる行為は、高度経済成長の時分に、紙パルプ工場から垂れ流されていたヘドロな廃液のそれとどう違っているのだろうか。勿論、一方は目に見えて、一方は目に見えない。そして、BODやCODを殊更悪化させるものではないものかもしれない。しかしながら、そんなにどんどんと二酸化炭素濃度の濃ゆい炭酸水(しゅわしゅわ酸性の海)にして、一帯の海の環境影響評価はどうなっていくのだろうか。
あるいは、海藻類の回収。そんなに簡単に海草の経続的回収できるのだったら、今喫緊の問題になっている都市近郊の湖沼で繁茂するホテイアオイを何とかするのが先決ではないだろうか。それさえも儘ならずに、もっと広大な海洋牧場なんて本当に制御管理できるのだろうか。
いずれにせよ、本構想に基づくシステム全体の制御系が相当しっかりしていなければならない必要がある。それは、記事にあるような個々の実験系の基礎的データだけでは如何ともし難く、また、厳格な制御管理も放任的な制御管理も赦さない要件がかかってくる気がしてならない。
尤も、その前に、環境団体は黙っていないだろう。その時の論争として、何が環境にプラスでマイナスなのか相当深淵な議論が期待できるかもしれない。
ああ、それと、わたくしが地元の政治家だったと仮にしたならば、「地元のメリットは何かね。」とお定まりのクエスチョネアを即座に投げかけてみたい気がする。どういう形で地元は潤うのだろうか。真逆、原子力発電所スタイルではあるまいに。


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「スターダスト」(デューク・エリントン