日本って…

連日のうだるような猛暑の中で、本日の話題は、頭歯利。政治記事(英国インディペンデント紙)。

◆総理大臣に侮辱された日本国民が報復を開始した

肥りすぎ、ホームレス、高齢者。麻生太郎は、彼らを侮辱し怒らせてきた。40年にも亘る長い間、日本の政治を支配してきた政権与党がいま、その代償を払う羽目に陥っている(デイヴィド・マクニール:2009年7月14日(火))

東京に暮らす住民は、この地球上で最も予測しがたい大地震の可能性のある土地の上の首都に住んでいるわけであるが、一方で、彼らは最も安定した政治制度の一形態を享受してきたことも自慢ができよう。尤も、それも「これまでは」の話ではある。この国の政権与党である自由民主党に歴史的な大敗という引導を渡すべく、当該首都における地方選挙において、その有権者は国家的政治的な大地震の鳴動を惹起させたのである。

この週末の地方選挙で、野党の民主党は当該首都での40年に亘る自民党の優勢に終止符を打ち、16もの議席数を増やした。彼らはまた、「歩く死人」とも呼ばれるこの国の首相である麻生太郎氏の経歴をもぶち壊してしまった。8月に総選挙を行うべく麻生氏が大号令をかけたことによって自民党の敗北は一層促されると考えられ、世界第二位の経済大国である日本を半世紀もの間支配してきた彼の率いるこの政党は現在壊滅状態にあるといっても過言ではない。こうしたことが世界と日本との関係にどのような影響を及ぼすのか。誰にも分かってはいないのであるが、その推測だけは漸く始まった。

麻生氏は、長い間耐え忍んできた日本国民の有権者の忍耐度を試すための指標にはなり得ない最新のリーダーである。彼は前回総選挙のあった2005年以降の第4代目の首相に当たり、10ヵ月前に政権を握った。彼の前任者である安倍晋三福田康夫の両氏は、権力闘争と低調な世論調査の評価に晒され、辞職の道を選んだ。

麻生氏は、日本の政治の歴史の中で、最悪とも言える失言癖による失敗だけが有名な人物として取り沙汰されよう。世界の中で最も高い年金受給者割合を誇るべきこの日本で、彼は自らの性癖に基づき、高齢者をさんざ侮辱してきた。昨年、彼は高齢者の社会保障制度について疑問を呈し、「どうしてこの私がちんたら飲み食いや遊んでばかりで何もしない人々の分まで税金を支払わなければならないんだ。」と、不平を口にした。

実際に、麻生氏の絨毯爆撃の舌鋒を受けてきた人々は、少数派にとどまらない。高齢者、少数民族、肥りすぎの人、ホームレス、彼の政敵、そして医者。皆、彼の砲火を受けた人々である。時として局所攻撃を試みることもあり、昨年には民主党ナチスに喩えるなど、彼は自らの真正面で暴発行為を繰り返してきたのである。

麻生氏のその大きな口は、彼の政党の失墜を説明する一部分でもある。彼は、前任者同様、日本にとって最重要課題でもある構造改革に取り組むことができなかった。日本は現在、第二次世界大戦以降最悪の経済危機に瀕している。2008年末には、35年間で過去最大の四半期別の景気の落ち込みを経験した。これは、欧州の2倍、米国の3倍以上の景気の減速度合いである。高齢者人口の増大や国内総生産の180%にも相当する政府負債額の増大について、とある解説者は最近これを「悪臭漂う腐敗」と呼んでいる。

自民党にはこの低下の流れを止めることができない。派閥は分裂を繰り返し、党の下での国家政策は指導者不在のまま、漂い流されるだけである。700兆円とも言われる公共事業への出費に傾注し、次の10年間の道路と鉄道向けの予算が仕組まれた。これは、破滅的な浪費と論難されている。

仮に麻生氏がこの危機に直面して、彼自身のリーダーシップと謙遜さを顕示していたならば、有権者は彼に対して或る程度大目に見たところはあったのかもしれない。しかし、彼はそのどちらも示さなかった。逆に、彼は不貞腐れ、弁解と言い逃れに終始した。彼はコミュニケータとしての役回りに全く適していなかったのである。その一方で、国民が日に日に困窮を究めていく中、彼は贅沢なライフスタイルを享受し続けていた。彼の任期初期に不況になり始めてた頃、マスメディアによって彼がウィークデイのほとんどの夜を高価なホテルとレストランで過ごしていることが明るみになった。とある雑誌で発表された公式記録によれば、2005〜2007年に34万ポンドもの飲食費を使っていた。お気に入りのバーでは6.5万ポンドも浪費していた。

皮肉にも、彼はその申し分のない政治的な血統と有権者の人気によって、昨秋、自民党総裁に選ばれた。彼は戦後最初の首相である吉田茂の孫であって、現在の日本の昭仁天皇の結婚にも関与していると言う。

麻生氏の後には、素晴らしく政治的に劇的なドラマが待ち受けているようにも見える。民主党は税金の無駄遣いを続ける官僚機構と戦い、社会のセーフティネットの確立に国家予算のおよそ10%を差し向け直すとの計画を公約している。そして、より多くの援助を高齢者や貧しい者、急落する出生率を押し上げるために月額155ポンドの子供手当と同様に、子供のいない家庭に対して提供するとしている。

その上で、民主党は米国との軍事協力同盟の縮小をほのめかしている。小沢一郎氏といった党内実力者は、アフガニスタンにおける米国主導の紛争解決に対する日本の支援を妨げる方向に動いてきた。そして、日本の方針は、米国の臆病さの裏返しではないかと主張した。「同盟とは、対等な関係を意味するものであって、米国が言うようなものを継続させていくのであれば、それは同盟たりえない。」と、小沢氏は断言をする。

麻生氏は、7月21日までに衆議院を解散して、彼の党を断崖の瀬戸際から救い出すことを誓った。しかしながら、彼は8月30日の選挙投票日までもちながらえられないかもしれない。日増しに党内で大きくなる反対勢力の運動に加えて、昨日、反対派は内閣不信任決議を見送るために協力することにも合意をした。

日本ってこんなふうに見られているんだ…と思った後に、日本人って…と思う。無論、わたくしも含めての日本人のことである。
この記事を読んで、いろいろな意味で、ぐったりげんなりする気持ちはあると思う。(そう。いろいろな意味。)
外の猛暑のうだりようを見やりながら、八月の総選挙って、結果はどうあれ、そのプロセス全部含めて、絶対に、ぐったりげんなりするに違いないと思うのだがなあ、という気持ちが海草のようにまとわりつく梅雨明け猛暑の一日である。


本日の音楽♪
「Ato-Ichinen」(KEMURI