開票までの40日間を持て余しているのは攻勢の野党ではなくメディアのほうであった

マニフェストではないということであるが、その基になる政策集というものが民主党から出たらしい(本日のマニフェストとともに漸く党のHPに掲載された)。
http://www.dpj.or.jp/news/?num=16667
例えば、税制改革などは、国民のほとんどが利害関係に直接関与するという意味において、関心も大きいし、対立軸となりやすい。彼我の政策の是非は兎も角として、そうした対立軸が争点の明確化に繋がり、有権者の判断材料の指標となりえるといった方向性は、政治の成熟化を示すものとして評価できるものではないかと考えられる。


そうした侃々諤々の議論を呼び覚ましやすい分野領域の政策とは別に、何処の政党もなんとなく口触りや口当たりがよくて、万人が納得しそうな正論ぽいことを言っている分野領域として「環境」政策が挙げられる。誤解を恐れずに言えば、市民目線的なものがそれによく該当をする。
しかしながら、よくよく考えていくと、環境と経済は両立しうるこそすれ、反目もしうるという意味では、過度の環境重視が経済の足を引っ張ることとなるし、そうした目で細目を眺めていくと、なかなかにすんなりとは肯首できない表現も散見されるというものである。


そこで、以下に「?」と首を傾げたくなるいくつかの事項を同党の政策集の環境分野領域の中から拾い上げてみよう。


●『殺虫剤による健康被害化学物質過敏症や急性中毒党)対策』のための法制化について記述をしている。殺虫剤とはあるが、いわゆる農薬のことであろう。先般、英国の声の大きな女性の訴訟騒動をピックアップしたことがあるが(7月17日付け「英国が成る程保守的な土地柄であるということがある意味でよく実感できる新聞記事」参照のこと)、いずこも同じというか何と言おうか。個人や市民に着目する同党の基本姿勢と、特定市民団体を支援することは、イコールフットのようでいて実は背反しているのだが、彼ら彼女達は気付かない。まあ、そういう扇情的な行動原理なのだから、永遠に気付かないとは思う。今更絶望していても仕方ないものの、虚しさは残る。


●『クマ被害対策』というものを項目出しして、どんと構える。クマである。確かにそういう被害が日本で皆無とは言わないが、いま地方の山間部の野生鳥獣による被害の深刻度を考えたら、イノシシやシカやサル等によるそれのほうが余程深刻なのではないかとも思う。而るに、そうした他の野生鳥獣の記述は一切なく、クマのみである。余程のクマプー好きと見た。


外来生物(移入種)対策として、『予防原則に基づいた移入種規制の強化』に取り組むとの記述がある。わたくしが盲信するに、予防原則という言葉を持ってくるくらいであるから、これのイメージはタスマニア(オーストラリア)やガラパゴスのような外来種水際封じ込め(絶対的鎖国)措置をしようというのではないだろうか。幾ら同じ島国の日本とは言え、それが現実的対応でないことは火を見るより明らかであろう。そもそもからして、いつも同じ事を言うのではあるが、外来生物(移入種)イコール悪者という図式があまりに偏向的排他的である。ラッコのくうちゃんがセーフでムラサキイガイがアウトであると言うのでは、両者から別々の不満の声があるだろう。


総じて、個別、各論では尤もらしいことを言っているように見えて、「公益性」の視点が欠けているものをチョイスしてみた。此処で言う「公益性」の意味が何であるかは、言わずもがなである。
昔からNGO好きのパーティではあるようだが、特定思想に気触れないよう、洗脳や偏見から脱却すべきことを末尾に助言しておこう。


(追記)
調査捕鯨に関しては「正当な権利」と明記している。全くの気触れ症というわけでもないようではある。
それに、お行儀済ましたマニフェストのほうよりは偏った味があってよいのかも。

本日の音楽♪
「つゆのあとさき」(さだまさし