騙し騙され一年が終わる

今年初めに、「世界恐慌が再来するのだ」と預言者の如く明言をした、過去にノーベル賞を受賞したことのある著名経済学者の発言をわたくしはしかと自らの記憶装置に保管している。
http://www.nytimes.com/2009/01/05/opinion/05krugman.html?_r=1
正月のお屠蘇気分を醒ましてくれるには恰好の冷水記事ではあった。その潔い言と効果・功績は認めざるを得まい。
しかし、そのように褒めつつも、実際のところ、その預言の中身が真実であったかどうかが肝心なことであるのは、どなたにしても論をまたない。
預言のあった、つまり年始めの段階では、当然わたくし自身もこの一年の未来を予感することは能わなかったわけであるが、こうしておよそ一年の歳月を過ごしてきた現時点においては、誰もが過去を振り返り、確認をすることができる。
而して、その照合結果は。 →  推して知るべし。
世界恐慌の再来はなかった。しかも、各国が非常に有効な政策を打ち出してその惨劇を回避できたからでしょう、といった言い訳材料も残念ながら存在しそうもない。
わたくしは、当時の眉唾を改めて確認するとともに、以下の教訓を胸に刻むのであった。
「くれぐれも肩書きに騙されてはいけない。」
その肩書きとは、ノーベル賞であり、売れっ子であり、そして、経済学者である。
そのどれもが預言の質を保証するのにちっとも役に立たない。「遺伝子組み換え大豆は含まれておりません」といった殆ど意味を持たない能のない説明書きみたいなものなのである。
実は先般、日本では未だ名前が余り知られていなかった頃のこの御当人並びに彼の主張をこの日本にいちはやく紹介したのは何と自分なのである、それは堂々自慢できるのであるという内容記事をあるところで見かけた。
品格もそこまで落ちれば、鮒寿司と間違って食べてしまう酢豆腐な粋人もいるということなのだろう。そこまで行けば、間の抜け方も堂に入って大したものであると思った次第。


閑話休題

◆パチンコ必勝法詐欺:被害で東●4県の38人提訴
 「パチンコ必勝法を教える」などのうそで金をだまし取られたとして宮●など東●4県の被害者38人が21日、情報処理サービス会社「●●企画」(●京都●宿区)と同社社長ら5人を相手に、計8048万円の返還を求める集団訴訟を仙●地裁に起こした。被害対策弁護団によると「パチンコ必勝法詐欺」の被害者による集団提訴は全国で初めて。
 原告らは同社の手口を(1)雑誌などに「必勝法無料提供」と広告を掲載(2)電話を掛けてきた人を仙●市内の東●支社に呼び出す(3)社内に設置してあるパチンコ台で打たせ「当たり」を出して信用させる(4)「1日20万円は勝てる」などとうそをつき、情報料名目で次々と金をだまし取る−−と指摘。約620万円をだまし取られた男性もいるという。


パチンコ自体を詐欺だと提訴したわけではなく、必勝法という情報自体が虚偽の内容であって、その情報提供行為が詐欺に当たるというのが訴えた側の主張であるらしい。
実演をして信用をさせたということらしく、どれくらいコンゲームに近かったのかは、当事者しか知らない。
傍観者としては、必勝法があるのならば客にその情報を売らずに自ら密かに実践すればよかったものを、とか、客も客とてパチンコでそれを実践するよりも情報としての価値が高いと思えば、同じ稼業の後を追った方が確実に儲けられただろうに、マルチ商法知らないの、などと様々な想像をすることしかできない。
それらの様々な思いを追求していくと、最終的には、パチンコで本当に儲かるの?という究極の思念に行き着くわけであるが、世の中はそうした思念を十二分に分析、共通理念をもつこともなく、巨大産業としてそれは多くの人々がぶら下がっている。
それに対して誰も声を挙げない。台の前で嬉々とした客ばかりがいる光景には巡り会ったことがない。
近所の駅前のパーラーでは、20時頃に、隅の空き地でノート勉強をしながら親(と思われる)を待つ或る小学生の姿に時折出くわす。
「宝籤は買っても滅多なことでは当たらないが、買わなければ絶対に当たらない。」といって売り場の長い行列に並ぶ人々。
世の中というものは、かくも興味深い。


本日の音楽♪
「ストップ!!ひばりくん!」(雪野ゆき)