神の領域

K「キャベツとダイコンを掛け合わせた新野菜が開発されたのだそうです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090918-00000014-kyt-l26
Y「キャベツもダイコンも同じアブラナ科に属するが、キャベツはoleracea属。ダイコンはRaphanus sativus(ダイコン)属。属の間同志の掛け合わせの品種である。」
K「キャベツの甘みとダイコンの辛みが絡み合ったホウレンソウのような形状の野菜なのだそうです。」
Y「属間交配種ということだから、自然界にはありえない植物ということである。」
K「自然界であり得ないことをどうやって実現したのでしょうか。」
Y「通常はおしべとめしべを掛け合わせても種が出来ない。おそらく、胚培養やプロトプラスト培養といった人工環境下での培養手法によって成体まで作り上げたのではないかと思われる。」
K「さっぱり分かりませんが、一度食べてみたいものです。」
Y「君はこれを見て、気持ち悪いとは思わないのかね。」
K「え、どうしてでしょうか。何か危険な成分でも含まれているのでしょうか。カルシウム1.7倍とありますけれど、栄養分が多くて結構なことなんじゃないでしょうか。もしかして、結石の原因になりやすいとか?」
Y「危険な成分が含まれているかどうかはよく知らない。しかし、自然界ではあり得ない新野菜ということは確かである。これは然るに、神の領域に踏み込んでいるとは考えられないだろうか。」
K「これが神の領域を踏み越えているのでしょうか。そんなことはちっとも想像できませんが、毒が含まれていないのならば、今まで食べていたキャベツとダイコンの両者の掛け合わせですから、大丈夫なんじゃないかと思うのですが。」
Y「思うのは自由。例えば、これが遺伝子操作によって作り上げられた野菜であったとした場合、どうだろうか。」
K「聞いたことあります。遺伝子組換え食品。その場合は、人工的な操作で遺伝子をいじくっているわけですから、予期せぬ危険性も増すような気がしますね。」
Y「今回の新野菜も人工的な環境下で無理矢理に両者を交配させて大きくさせたという意味では、人工的な操作ではないだろうか。」
K「詳しい仕組みはよく分かりませんが、遺伝子をいじくっているのでしょうか。百歩譲って、近縁同志で人工的に作り上げる新品種というのは、許容範囲に近いような気がします。例えば、トマトとジャガイモの掛け合わせのポマトとか。ハエの遺伝子を組み入れたホウレンソウなんて、やっぱり、イヤですけれどもね。」
Y「食経験のあるもの同志ならば、拒絶感は少ないという感覚的な受け止め方はそうかもしれぬ。ただし、人工的な操作だから予期せぬ危険があるかどうかということは、イメージだけではなく、もう少し突き詰めてみる必要があるとは思わないかね。」
K「専門家にお任せします。」
Y「では、トマトとお米の掛け合わせはどうか。」
K「実際に見てみないことには何とも言えませんが、それなりに魅力的な商品ならば、受け入れられるかもしれませんね。」
Y「それが神の領域を超えていたとしてもかね。」
K「正直なところ、神様を意識して毎日御飯を食べているわけではありませんし。」
Y「大変正直で宜しい。」
K「つまるところは、どれだけ魅力的な商品かに尽きると思いますね。」
Y「君のような割り切り方が出来れば、開発する連中も「神」の存在などに煩わされることはなかろうに。」


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「マイライフストーリー」(D.W.ニコルズ