観客数約10名弱

いつかわたくし自身がこの場で推奨をした映画「幸福」(市川昆監督)が最近漸くDVD化されたのだそうである。待望の声はわたくし以上に世間では多かったのだそうである。10月末にはDVD化を祝う試写会が行われ、実はわたくしもその試写会の公募に葉書を出していた。しかし、外れてしまった。滅多に懸賞応募なんてしないので、外れたときの対処の仕方が分らず、非常に情けない気持ちを抱えている。したがって、試写会には行けなかった。


「風が強く吹いている」を鑑賞してきた。
まずはよい点を指摘しておかねば。俳優たちの走法は確かに玄人はだし。若い人の筋肉ってつくづく羨ましいくらいに美しい。
三浦しをんの原作はよくも悪くも正攻法でどんなにわくわくした気持ちで読んでも、読後の意外感が不思議なほどに少ない。映画化されたこの作品は、というと原作のメリハリをさらに丸くさせてダイジェストにしたような感じであった。通常は原作とは違った味付けやアクセントをつけることを好むと思うのであるが、この脚本家と演出家は忠実に原作を太マジックでなぞるようにして作品を仕上げた。
したがって、本来であれば、主人公10人の織り成す人間模様と最終的に一つの目標へ全員が突き進むそのプロセスが物語の肝ではないかなと思っていたところさえ、あっさり淡白に流していく。それぞれのランナーに感情移入をしにくい展開となる。
脚本もそうだが、演出に何の工夫がなかった。挙句の果てに、クライマクスで実況アナ(現役NTVのアナ)に「風が強く吹いております」と語らせるところなど、ベタすぎて恥ずかしくて逃げ出したくなった。素人に毛が生えたようなお笑い芸人のとてもいたたまれない居心地悪いコントネタを観たような心持ち。
若い俳優たちは頑張っていましたけれども(特に、ハイジ役の小出恵介君はベテラン俳優のような手誰であった)。わたくしの予想としては、来年の年末あたりにTV放映がされると思う。箱根駅伝を盛り上げる為の前哨戦として。

実は、主人公の一人であるキング役の子(内野謙太君が演じている)がどうも誰かに似ているというのが鑑賞中気になって仕方がなく、はっと思い出したら、それは、インスタントジョンソンの左端のボケ役の人にそっくりなのであった。それに気付いてしまってからは、彼が映し出されるたびに何だか笑いたくなってしょうがなかったことであるよ。

(追記)
本屋でとある雑誌に目がいった。「泣ける映画特集」とある。
書店主には申し訳ないが、ぱらぱらとめくって立ち読み。ジャンル別のベストには、例えば、「泥の川」や「最前線物語」「シェルブールの雨傘」などがあって、なかなかに渋い選出ではあるなと思いつつ、総合ベスト1はというと、「道」。うーむ、ジェルソミーナ、、、確かに名画には違いないが、こんな昔の作品の選出をするなんて。この雑誌の読者対象は5,60代のおっさんたちであったのか。ブ●ータス!?


本日の音楽♪
「泥だらけのHERO」(キマグレン