スーパーフルーツの話

7月4日付け「水菓子考」に続くフルーツネタ。

フルーツショップの前を通りかかると、落ち着いた気分で居られなくなるのは、わたくしの極私的な氏素性に由来をする。懐かしいような痛いような、正直とても冷静な気分ではいられない。いつになったら心穏やかに自分自身の過去を振り返ることが出来るのだろうかとも思う。(初恋の相手が果物屋さんの人だった、なんて甘くて単純な背景ではない。)

本日は、LAタイムズのブログ版より。「来たる次代のスーパーフルーツは一体何か」というお話。SUPERFRUIT。スーパーマーケットで売ってるフルーツのことではなく、霊験灼かな効能を備えた果物の王様は何なのか、という話である。(もちろん、答えは「悪魔の実」ではない。それではあまりにベタベタなオチである。)

◆次にやってくるスーパーフルーツは何だろう?(ロージ・メステル記)
2009年、秋風が吹き始める頃、我々LAタイムズのブログスタッフ達は、次に健康ブームを興すフルーツが何になるのか考えていたのでした。皆さん御存知のオプラ氏、オズ博士、ペリコーン博士が確信する2010年のスーパーフルーツは何か。古代文明国が知っていた、しかし、我々現代の大馬鹿者達が見逃していた強化ヒーリングパワー(治癒力)が詰めこまれたスーパーフルーツとは?
ちょうど昨日は、アサイーマンゴスチン、ゴジベリー(※KERoYoN注:何かと思ったら、クコの実の一種だって)。ザクロにキウィフルーツ。外来産の本物。(リンゴ、西洋ナシ、ブドウ、イチゴ、バナナ?…ああ、時間の浪費だわ。)
広告会社からの情報を受け取るのは、ちょっとしたスリルでした。マカイ・ベリーと呼ばれるフルーツがそれなのでした。
そのフルーツについては、少しばかりの噂は聞いてましたが、我々はマカイがその流行の主役になるとはその時まで考えてもいませんでした。マカイ、初耳でしょうか?正確な発音さえ怪しいものかもしれません。そんなマカイ・ベリーは、スーパーフルーツの要件を十二分に満たしているのでした。
多くの証拠があります。公表資料によれば、マカイは、南米パタゴニア地方の紫色をしたベリーの実で、「古来、スタミナ維持、体力増強、免疫反応促進といった効能があり、土着のマプチェ・インディアン達が用いてきた。米国の土着インディアンやマプチェ・インディアンの昔からの強靱さとスタミナは、毎日数回、このマカイを発酵させた飲物を飲んでいたことに起因する。研究によれば、マカイは世界で最も高い抗酸化作用のあるスーパーフルーツであって、アサイー、ザクロ、ゴジベリーやマンゴスチンの2〜3倍もの効果がある。」とのことです。
制圧を免れたパタゴニアのインディアン達に飲み干されていた古代の飲み物に続いて流行しそうなもの、最近聞いた話の中でただ一つこのマカイの競争相手になりそうなものは、ジャングルブックに出てくる熊のバルーが歌うディズニーの曲に登場するウチワサボテンの実です。
けれども、私自身は、おかしな形をした木で、コウモリが受粉をするバオバブの実を応援しているのでした。(オプラ:格下のバオバブの応援よろしく。)

半分不真面目なところはあるけれども、洋の東西を問わず、新種のフルーツに神秘性を求める非科学性は、正直しょうがないねえ、という感じではある。古代人が強靱であったのは、日頃の鍛錬の積み重ねに他ならないし、健康にとって必要なのは栄養バランスであって、単品で全てが事足りるものではない。…などと、大真面目に反論してみても、どうしようもないか。所詮、ブログの中の、フレンチフライ命!みたいなタフネスな米国人お姉さん達のお話なのだ。「あるある…」よろしく、聞きかじりだけで、抗酸化作用を追求してみても、筋肉質の躰が保証されるものでは決してないのであるということだけ、釘を刺しておくか。


日本でも日々刻々様々なフルーツが登場をしている。世界中を駆け回る商社マン達の努力の賜だろう。わたくしの子供時代は、キウィさえ給食の食卓には登場しなかった(※この時期は、柿がよく給食に出された。…辛かった)。が、今はまかり間違えば、マンゴーはもとより、パパイヤやライチやスターフルーツさえメニューを彩る時代である。それはそれで幸福なことには違いないと思いつつ、一方で、野山を歩いていて偶然見つけたアケビの実のおいしかったことと言ったら。ああした素朴な果物の味を忘れていることにふと寂しさも覚える。そんなわたくし自身が御多分に漏れず老けてしまったのであったな。


本日の音楽♪
「言葉はさんかくこころは四角」(木村カエラ