ゴミ屋敷日本

そう遠くない将来において、全地球レベルで食料問題がより深刻化するであろうという悲観的予測に対して異を唱える人々はそれほど多くはない。基本的に、これまでの食料供給能力の延長線上で考えてみた場合、これからの世界的な人口の急増分の需要量をまかなうだけの余力は凡そ楽観的には見通せないというのが専門家を含めた妥当な見方であると認識されている。
そうした問題認識を世界の指導者達が概ね共有する中にあって、米国国務長官ヒラリー・クリントン女史が最近このような発言をしている。
ブルームバーグ配信記事より。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601012&sid=aL9WMGCf4cWU


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◆「バイオテクノロジーが飢餓問題への鍵となる」とクリントン国務長官は言及
10月16日(ブルームバーグ

 2007年以降、世界60以上の地域で起きた食料暴動による世界規模での安全保障上の脅威とも言うべき飢餓問題に対して、バイオ技術こそがこの問題と戦うための「重要な役割」を担うものであると、ヒラリー・クリントン国務長官が言及した。
 世界食料デーのこの日、クリントン国務長官は、トム・ビルザック農務長官との電子会議の場で、米国が他国に食料生産の増大を通じた支援を行うための「改良技術」は、主要なツールのうちの1つになるものだと述べた。
 飢餓問題は、経済的にも環境的にも安全保障上もより大きな脅威になってきていると、国務長官は話す。飢餓に喘ぐ人々の数は、今年初めて世界中で10億2千万人を突破したと、今週始めに国連から発表された。米国は、「農民の技術と努力に貢献するために必要なツールの全てに投資をしている」のだと、国務長官は述べる。
 国連推計に拠れば、気候変動問題が発展途上国における小麦、とうもろこし及び米の生産を脅かすとともに、世界のニーズを満たすための食料生産は、次の40年間で70%も生産量を向上させなければならないとされている。このため、貧困国の農業においては、年間830億ドルもの投資が必要になると、国連が先週段階で明らかにしている。
 昨年、先進諸国は、農業発展と食料援助のための資金提供の増額を提案した。クリントン国務長官は、飢餓問題と戦うことが政策の大目標であって、7月には主要8か国が今後3カ年に亘り当面200億ドルを、最終的には220億ドルを、食料安全保障援助のために仕向けることを先月約束した。

デュポン、モンサント

 国務長官のコメントに対して、デラウェアに拠点を置くデュポン社並びにセントルイスに拠点を置く世界第二位の種子企業であるモンサント社最高経営責任者であるエレン・クルマン氏も同様の発言を繰り返す。遺伝子組み換え作物は、農業に必要な土地の面積を増やすことなく世界の需要ニーズを満たすことができる重要な技術なのだ、とクルマン氏は今週始めにリポーターに答えた。
 しかしながら、バイテク種子に対する抵抗感は、欧州では依然として高いままであって、その中の数カ国では、BASF社のAmfloraジャガイモやモンサント社のトウモロコシを含む遺伝子組み換え作物の使用を拒絶してきた。一方で、その販売高は確実に増大している。国際アグリバイオ協会が今年2月に公表した報告書に拠れば、遺伝子組み換えの大豆、綿及びトウモロコシがボリビアブルキナファソ及びエジプトにおいて、それぞれ初めて栽培され、バイテク作物が許可された国の数は昨年の25から28ヶ国に増えた。

食料安全保障

 国連報告にもあるように、人口増加と食料需要の問題は、いくつかの国において価格高騰と安全保障上の脅威を高める原因となっている。
 世界的に見て、食料品価格は、2007年6月から2008年6月までの間に42%も急騰し、ハイチ、コートジボアールその他の国で食物暴動が起きたと、国連から発表されている。たとえそのコストが2007年水準のまま維持されているとしても、世界最大の銀行が1兆6千億ドル以上もの信用損失をもたらした世界的な財政危機によって、飢餓問題の増幅に明らかに関与していたと、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の農業発展部次長であるロイス・タイナー氏は先週言及した。
 世界食料デーは、1945年の国連世界食料農業機関の創設を記念し、1981年に第一回が開催されて以降、毎年10月16日にその行事が催されている。米国の行事主宰者によれば、それは飢餓を軽減するための共通認識及び理解の増進並びに年間行動計画から成り立っているという。