食べ物の好き嫌いを言ってはいけません

わたくしの「大嫌い」なトクホ。に関する報道記事。
http://www.asahi.com/politics/update/1023/TKY200910230260.html

◆トクホ、廃止も含め見直しへ 消費者担当相
 健康によい効果がある食品を国が審査して許可する特定保健用食品(トクホ)について、福●瑞穂・消費者担当相は「果たしている役割が適切か根本的に見直したい」と述べ、トクホ制度の廃止も含めて見直す方針を明らかにした。

ほほう。大臣自らのイニシアティブらしい。いったいどんな問題意識を瑞穂丹はもっておられるのかというと。

福●氏は現状の制度について、「トクホは宣伝で商品の効能が強調され、本来の目的を超えた付加価値がつきすぎているのではないか。国がお墨付きを出す必要はあるのか、ゼロから見直したい」と話した。

正論だと思います。突き詰めれば、「医薬品」と「食品」の間をトクホで埋めようとしたそのアプローチがおかしかった、ということになるのであろう。所謂フードファディズムによって引き起こされている我が国の種々の騒動から推し量っても明らかなように、「食品」を「医薬品」の世界に寄せていこうという考え方自体に無理があるということなのである。

ただし、「最初から廃止ありきで考えているわけではない」とも言い、トクホの市場規模が約6800億円に上ることも考慮し、「すでに許可を受けている商品の表示を廃止することにもなり、企業への影響が大きいので慎重に考えたい」としている。

おそらく全廃は無理ということで。消費者団体NGO(含.過激的集団)の支援を多く受けている党らしからぬ、穏当な、八方美人の役人ぽい発言ではある。それで、現時点で想定している見直しの具体的範囲は、というと。

検討される内容は、(1)トクホの表示制度や取り消しを巡る消費者庁の再審査が、消費者に役立つ仕組みになっているのか(2)審議する効能や安全性の試験結果のデータを、企業自らが準備する現行の手続きが妥当か(3)「おなかの調子を整えます」「体脂肪が気になる方に」などの効能や効果の強調をうたった現行の表示のあり方は適切か、など。

(1)や(2)は評価の仕組みの問題であるから、それは利益相反問題含めてさらに煮詰めていただくとして、(3)については、おそらく健康増進法の趣旨の徹底強化ないし厳格運用という方向に行くのだろうか。具体的には、①医薬的な効能の表示の摘発を強化する(世に蔓延している紛らわしい表示も含めて)、②医薬的な効能に類する効能・効果自体をトクホ対象の中で厳選する(つまり「体脂肪」だとか「血液さらさら」だとかあたかも医薬効能がありそうな項目自体をトクホ対象から外す。お腹の調子はぎりぎりセーフかも。)といった形で、少なくともトクホの世界をさらに拡げようという方向には行かないだろうと勝手読みをする。


では、その「大嫌い」なトクホワールドが縮小することによって、現世からはみ出てしまう食品群はどうなるのか(その中には、トクホ認証の事実の有無にかかわらず、便乗販売をしてきたいわゆる健康食品群が含まれる。というか、本当はそちらの胡散臭い連中が目の上のたんこぶであることは皆が認めるところ)。相変わらず魑魅魍魎の世界での跳梁跋扈が繰り返されるのか、それとも、健康増進法というなまくら刀がその真の力(?)を発揮する時なのか。紙芝居の次の場面は、明らかに用意されることとなった。温かい斜視線で見守ろうと思う。


本日の音楽♪
「東京」(世武裕子