猫の肉球とB級アイドルの関係。翻って、わたくしの大好きな和菓子

猫の肉球があれほどの人気を博すことを一体誰が予測しただろうか。確かに猫と暮らす経験をした者ならば、それに愛おしさを覚えることは間違いないとは思うのだが、膾炙にも程がある。まるで、ヒット曲もヒット主演作品もない、よくわからぬローカル局のB級アイドルが一躍トップスターの階段を駆け上ったようなものだ。肉球フリークがそれだけの市民権を得られるのであれば、わたくしとしては、同様に、猫のキンタマ……失敬、ふぐりについても、肉球と同程度の愛情が注がれてもおかしくはないものだと確信するのである。


ところで、東北地方の名刹、奥州平泉を訪れると、訪問者はその地で必ず地元銘菓の「田村の梅」に出逢うこととなる。あんこ玉を赤紫蘇で包んだ素朴な和菓子なのであるが、これの形状、大きさ、感触が正に猫のキンタマ……失敬、ふぐりに酷似をしている。わたくしとわたくしの母は、その昔、家で飼っていた猫のそれを「田村の梅だ」と言いながら突ついたりして、猫とじゃれていた。猫は、「やめてくれよ。失敬な。」とばかり、にゃあと糸切り歯を見せて迷惑そうにして嫌がっていたことを思い出す。


田村の梅は結構な甘さを備えているため、一度にそう何個も口にするほどではないが、わたくしのフェイバリットな和菓子はと言えば、例えば、正庵のあんず大福やひがしやのほうじ茶プリンやうさぎやのどら焼きといった全国の最高峰に位置しますぜみたいな、東京の味もそれはそれで凄いとは思うのだが、そうした、雑誌でよく取り上げられる有名な逸品よりも、結構有名な筈なのに、誰も取り上げようとしない地方銘菓、例えば、熊本の四ツ目饅頭を候補に挙げてみたいと思う。


四ツ目饅頭は、奇をてらわない、一見何の変哲もない饅頭なのではあるが、かえってそのアクのなさが王道らしさを感じさせる。その口触り、さらし餡の加減、どれをとっても出しゃばることのない、ステディさ加減というものが気に入っている。余計なお世話に違いないだろうが、熊本にはもっと人口に膾炙した有名な和菓子は多く存在するが、こうした上品な味に宣伝の力を割いてはどうなのだろうか。

…途中大変お下劣な内容に堕してしまってどうなるかと思ったが、一応、最後はそれなりに品性を取り戻しつつ閉じてみた。


本日の音楽♪
「雨上がりに見た幻」(the pillows)