立派そうなニセ科学、おじさんのニセ科学(どっちもどっち)

ほんの少しではあるが、前途に悲観的な展望を抱いて、某スーパーマーケットのベンチで夕まずめの束の間、腰を下ろして黄昏れつつ休んでいたのである。原因や経緯なんかどうでも宜しい。


ぼんやりと休んでいると、隣に座っている見知らぬおじさんから突然話しかけられる。わたくし自身決して人好きな外観風体ではないのに、そういうことは時々あるので、わたくしも逆らわない。

「知ってっかい?地球はさ、丸くないんだよね。」
「そうなんですか。」とわたくしは答える。
「丸かったらみんな地面の上に立っていられないっぺ。」そう言って、おじさんは呵々高笑をしてみせた。
「立ってられるのは、重力のせいだと言われてますけどね。」冗談か本気か判別し切れていないので、わたくしはちょっと真面目に反論をしてみる。
「そんなもの、見たことあっか?なかっぺ。見たことないものなんか、信じられっかい?」成る程、反論のしようがない人なのだなと感心をして黙っていると、おじさんは丁寧に説明をしてくれる。
「地球っつうのはずっと平らでな、ある本に書いてあったところによると、その地面をでかい象と亀が支えているっつうことだな。そいつらが動いて、地震が起きるってな。」
そういうお話は聞いたことがあるけれども、何だか漫才ネタみたいになってきたなあと思いつつ、黙っているのも何なので少し質問をしてみた。
「その象や亀は何を食べて生きているんでしょうかね。」
「そこらへんの雑草やミミズでも喰ってんだっぺ。寿命は俺らよりずっと長いから、心配すっことはないのっさ。」
「亀、臭いですよ。そりゃ大きな亀だから、近所に住んでいる人は臭くてたまんないですね。」
「地面の下だかんな、どうだかねえ。調べてみっか。」わはは…と再び哄笑。

悪臭の中で暮らすよりはましな人生というものに感謝をしなければならないのである、ということを今日一日の教訓としたい。
まさしく、人それぞれ、人生いろいろである。そして、皆等しく、同じ空の下で生きている。


本日の音楽♪
「マッチョ・ドラゴンのテーマ曲」(藤波辰巳