マニア・マニエラ

ほのぼの系ニュース。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090813-00000009-san-l30

●山県内では未発見だった珍種の昆虫「シロアナアキゾウムシ」が今年5月に●座川町内で見つかり12日、県立自然博物館(●南市●尾)で標本の展示が始まった。発見者は●坂●伸県知事で、「科学的な知見の集積に貢献できたと喜んでいます」と話している。
●坂知事は昆虫採集が趣味で、5月10日にカミキリムシ採集のため●座川の●森川近辺を訪問。川岸のシイやミズキの花に虫取り網をあててゆすったところ、網の中に見慣れないゾウムシを見つけた。

ふうん。知事はカミキリムシマニアであったか。何処の世にも昆虫マニアは存在するが、カミキリムシの愛好家は結構な膾炙のしようではある。
学生時代の同級生がそうだった。そして、彼らの知識の奥の深いこと。わたくしにとってのカミキリムシと言ったら、ミヤマカミキリやシロスジカミキリといった大型のカミキリムシで、クワガタムシやカナブンブンと一緒に椚の黒蜜くんをちゅうちゅう舐めているところを一緒に捕まえるといったイメージであった。しかし、彼らの扱うカミキリムシは、もっと小型のものでその種類も果てしないほどに幅広い。今であれば、生物多様性を心配する必要のないほどの種の多様性だわと言って揶揄したいほど。専ら花を訪れる連中、朽ちた樹木の間に隠れている連中、マニア達は八面六臂に出没をしてはそれらを捕獲している。一見カミキリムシには見えない、よく分からぬゴミムシのようなハムシのような虫でも彼らは一目それを見て、「これは××△△●●○○カミキリだね。」と長い和名をさらりと答えてみせる。おそらく学名もすらすら答えられるのだろう。
わたくしが自らの生活の足しにするために山菜採りに山に分け入り、収穫物の山菜を背負って彷徨い歩いていた時に、偶然山の中でばったり出逢ったのが捕虫網を抱えた同級生の彼であった。お互いに、いつも教室で顔を合わせているのに、何もこんなところくんだりで逢うとはね、と思ったことだろう。

密柑山で一時期修行を積んでいた際に、ゴマダラカミキリは、その幼虫(テッポウムシと呼ばれていた)が蜜柑の木に穴を開けて枯らす害虫ということで、関係者からは悉く嫌われていた。よく知らないわたくしは、蜜柑園の中で見掛けたゴマダラカミキリを何匹か捕まえて、袋に入れて歩いていたら、親方がそれを踏んづけて殺そうとするので吃驚した。殺生はいけませんと引き取ったが、蜜柑で生計を立てている立場からすれば、そういうものかもしれない。一方で、昆虫の側からとってみれば、堪ったものではないが、それとは別に、これだけ人間様のファンが多いことを彼らは一体どう思っているのだろうか。
捕虫網を抱えた同級生と知事の姿が交錯をする。


本日の音楽♪
「花しぐれ」(高田みづえ