伝統の国英国、そのフォローアップ

皇室の赭ら顔のプリンスであるチャリ坊が有機(オーガニック)大好きおとっつぁんで、科学の枠組みを無視する非常識(欺瞞的?詐欺的?)商売に手を染めたりして、何なんだろうねえこの伝統国は…、と呆れて眺めていたりするうちに、農薬大嫌い活動家おんばサンの起こした傍若無人な訴訟騒ぎを目の当たりにして、この伝統国のコンサバぶりはいっぽん見事に骨が入っているねえ、とその本質性にある種の見切りをつけてみたりする出来事があって、そうこうするうちに、伝統国のオカミ(FSA:食品安全庁)が「オーガニックと通常食品の差はない!」なんて駄目出しの烙印を押したりしたものだから、国中大騒ぎになってしまって、そうだそうではないそうではあるがそうでもないそうなのかといった侃々諤々の議論が巻き起こっている彼の国伝統国、UK。
後ろから風を送って炎を扇いでいるのはメディアで、根の深さの一端を担っている(但し、自覚はない)のであるが、そのインディペンデント紙上で両者の対立ぶりを報道している。対立の大略(所詮平行線)はこの際横に置いて、国民が実際にどのような声を上げておられるのか、同紙の中で街角インタビューを掲載しているので、今回はこれを収録しておこう。
http://www.independent.co.uk/life-style/food-and-drink/news/organic-food-debate-boils-over-1767911.html

(仮訳)
◆買い物客達の声

●フランク・ナバさん、17才、学生
ボクですか。週に4、5回はオーガニック食品を食べてますよ。だいたい野菜、チキン、卵がそうですかね。とっても健康的ですよ。ボクが赤ちゃんの時から、おかあさんがオーガニック食品をずっと与えてきたそうですから。これからはもっと多くのオーガニック食品を食べたいと思ってます。健康のためにね。ボクをすごく強くしてくれてるんだから。ええと、「オーガニック食品に違いはない」と聞いた時ですか。それまではオーガニック食品の方がずっとずっと健康的なものだと思っていました。

●ジム・ロジャーズさん、34才、金融ビジネスマネージャー
私はよくオーガニック食品を口にします。一般的に言って、オーガニック食品の方が質が良い傾向にあることは確かなわけですからね。つまり、オーガニックのチキンを食べたいならば、それ相応のお金を支払わなければならないということです。その食品が本当にどれだけオーガニックなのかという心配は常に持っています。けれども、健康への効果が本当のところどうなのかと言うことに関係なく、人工的な加工を施していない食品であるという情報を知って、それを口にできるということが大切なんだと思いますよ。

●ウェンディ・パーカーさん、28才、議会労働者
これからはオーガニック食品を買おうと思っているわ。果物と野菜。お肉は食べる量を減らそうかと思っているところなの。そうね、週に2回くらいまで。その分をオーガニック食品の方に回せるでしょ。オーガニック食品は、より健康的で、そして味覚も優れていると思うわ。それに、農家の経営にとっても環境にとってもいいものなんでしょう。以前に読んだものの中に、オーガニックは確かによりよいものだと書いてあったわ。

●リリー・ノダールさん、50才、ソフトウェア会社マネージャー
明らかに味覚は異なりますね。そして、いずれにしても、あまりに多くの毒が身の回りにありすぎるということです。オーガニック食品は地球に優しい。そして、オーガニック食品の生産サイクルにおいて化学物質が使われることがないので、win-winの関係を構築できるのです。私は[FSA調査結果に]驚きません。それは認識の問題です。これまでずっとオーガニック食品の良さを洗脳されてきたのですから。ファッショナブルな生き方と同義ということなのです。

●ジェーン・パークさん、64才、退職者
あたしはね、オーガニック食品は食べないわ。オーガニック食品に対しては多くの議論があるでしょう。そして、実際にオーガニックでないことのリスクというものもあるんでしょうね。率直に言って、商品表示を見て買ったりしないの。オーガニック食品は値段が高すぎて、それにナンセンスな代物でしょ。オーガニック食品でよくなることなんて何もないのよ。悪くなるものだとも思っていませんけれどもね。それが大切だと思う人がいるのならば、菜食主義者になればいいの。それはそれで人生を愉しんでいるということなんでしょうからね。

いい人選ではある。
若者(フランク君)は健康に良いものだと小さい頃からずっと言われてきたのでそう信じ込んでいる。若いビジネスマン(ジム氏)は質と情報の確保のためにお金を払うのだと割り切って答える。若い女性(ウェンディ嬢)は情報ソースに何ら疑いを持つことなく、お金を工面しながら買ってみたいと願望する。熟年の実業家(リリー氏)は毒された現状を打破するための、そしてこれは「主義」なのだと言い、もう一人の熟年者(ジェーン翁)は、同様に生き方の問題と捉えつつも彼女なりの達観を述べる。
わたくしがどの考え方に近いかはこの際どうでも良いだろう。すぐれて共通している点は、四者が四者とも、自らの頭の中で見解を咀嚼して縦横の平仄を合わせていることである。コンサバのコンサバたる所以、ここは虚心坦懐、英国の市民の声に耳を傾けてみよう。


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