地獄拉麺苺ジャム大盛りのせ

同日付のA新聞では、件のノーベルコラムニストによる我が国経済対策(定額給付金等)に対するコメントを載せており、その内容に思わず失笑してしまったが、それは放っておくことにして(passing)、異なる頁にある定期欄の「論壇時評」の今回の内容は大変に興味深いものであった。
連載を担う社会経済学者による今回の評論の根幹は、「経済学仮説は、思想ではなく、理論に基づいて行わなければならない」という大前提を指摘している。冒頭、近時の自称経済学に携わる有名シキ者の発言が、そうした学説的な検証を経た理論ではなく、自らの思想を述べているに過ぎないということを批判した上で、他方、理論面において、世間の主流を占める枠組みを越える最近の提唱仮説について紹介をする。その仮説の確からしさについては、素人のわたくしには推し量る術はないが、そこには確かに知的興奮が存在する。アカデミズムを標榜する以上、最低限守るべき節度というものを確認させてくれるという意味において、また、昨今の自称経済学者のどうしようもない主張にわたくし自身呆れ果てることが多かった理由を明確にさせてくれるという意味において、よい読み物であった。


他方、コラムニストの立場であれば、どんな思想を述べても構わないかといえば、如何せんそうとも言えないことは、これまでも何度か指摘をしてきたところである。
民間経済アナリストの立場から、名が売れ、大学界にも足を踏み入れたこのエコノミスト女史のコラムは、相変わらず、保護主義こそが世界貿易経済を駄目にするという基調である(常識的と思われるそういった基調に対して、敢えて疑問を呈する別の論調も最近見掛けて興味深かったのであるが、今回はそれには触れない)。
特に怪しからんのがバイ・アメリカンなのだそうであって、以前からわたくしが疑問に思っている、バイ・アメリカンのどこが実際に行き過ぎていて弊害があるのかについては、論理的検証はもとより、仮説さえ語っていない。そして、自国産品奨励に吝嗇を付ければ結局こういう話になるであろうという懸念のとおりに、内需主導奨励という各国政策さえ怪しからんのだと主張する。
そして、最後にこの女史は、自分さえよければという考え方から脱して、互恵主義で行こうと呼びかけて締める。おそらく、この女史の頭の中では、国境も何もないOne Worldが出来上がっているのであろう。一つの世界が脳裏に強く焼き付いているのであれば、今回の世界不況が各国の共同正犯で起きてしまったことにも強く言及をしなければならない筈なのであるが、当然の事ながら、そうした不況リスクの宿命については口を閉ざす。
偏狭な超辛口の主張と脳天気な大甘の世界を同時に味わえる摩訶不思議なコラム内容ではある。
http://news.goo.ne.jp/article/php/business/php-20090524-05.html


本日の音楽♪
「一期一会」(やなわらばー

(過去のメモ)
>わっはっはっと笑うに限るのだとアニマル御大は宣うた

なにぶん人件費の高い日本である。国際的なコスト競争を考えれば、より安い人件費を海外に求めざるを得ない。それが嫌であれば、正社員並みの待遇がないといった不満をつべこべ言わずに(派遣の待遇で)我慢なさい。それが国内産業を存続させる道なのです。


…といったことを言い出すエコノミストはいるのかなあ。まさかそんな底っぺらの浅い縁台の親爺のような戯言を真面目に言う専門家はおらんでよなあ、と先般来監視を続けていたら、いた。
とうとう出喰わした。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090522/154692/


そのテカテカしたデコを眺めながら、こんな戯れ言如きで功徳をなした気分で居るのかいと暫し感慨無量の気分になった。確信犯的に脳軟化症発言をするならば、暖かい眼で無視もできよう。しかしながら、いっぱしのエコノミスト気取りでこの無茶ぶり加減である。エコノミスト界というのはほんとうにどうしようもない状況なのであるなあ、と。こうもなると、最早嗤うしかあるまい。


本日の音楽♪
アビーロードの街」(かぐや姫