Bグル(ラーメン編)

先日、中央線のとある有名駅前に所用で出掛けた。十何年かぶりにその町に降り立ったわけであるが、その町は、一軒一軒の店はほとんど覚えていないが、大きなビルを含めて街並みの様子は、ほとんど昔のままで迷うことはなかった。若者の活気に溢れる空気がそこにはあった。


少しばかり時間があったので、昔、友人に初めて連れられて訪れたことのある某有名ラーメン店を覗いてみた。昔ながらの店の前は、相変わらずの行列であった。暫し並び、食する。
当時、この店のラーメンを初めて食べたときは、そのあくの強い美味しさに驚いたものであるが、あの当時のままの味なんだろうか、と内心そわそわしながら、そのラーメンをいただいた。


麺のゆで具合、かんすいの加減、スープの押しの強さ、どれも正直満足できるものではなかったが、注文の多い煩い客のようで自己嫌悪を持ちながら、黙って全部食べて帰ってきた。
当時はいなかったであろう若いスタッフに文句を言うわけにもいかない。


帰宅後、ふと思い立って、本棚からBグル(B級グルメ)のラーメン本を取り出して眺める。
奥付は昭和の元号の本である。
当時は、今ほどラーメンがカルト化はしておらず、家も屋も系列化されていなかった。いくつかの店を訪れ、いくつかの店のラーメンを想像をしながら、好みを語り合ったりした。
その本の写真を眺めながら、もう今は店さえないラーメン、主の変わったラーメン、姿かたちを全く変えたラーメンの数々に時代の流れを感じる。
とある名物店の80を越えるおやじ殿のにこやかな笑顔の写った頁を見ながら、もう鬼籍に入ってしまわれたのだろうなとさびしく思う。


ちょっとがっかりしてしまった件のラーメンもその本には載っていた。
当時の面影とは違うラーメンになっていたことをその写真と説明を見ながら、改めて確認をした。


本日の音楽♪
「YOU'RE ONLY LONELY」(J.D.サウザー