スカッと爽やか

「コラの実(cola nut)」と言われても恐らく誰も知らないだろうが、コーラの名前の由来と言われるそのコラの実が実は含まれていないらしいコーラ型炭酸飲料は、人口に膾炙することと比例する形で、批判の声もincubateされていく。世の善き父様母様方は、自分の愛息愛娘にはこのコーラ型炭酸飲料をあまり飲ませたくないと考えている。自分が飲むぶんには、特段構いはしないのだけれども。
そこで飲ませたくないが為の後ろ盾となる'myth'が誕生する。曰く、コーラ型飲料は、
◆肥満の原因になる
◆虫歯の原因になる(歯が溶ける[*])
◆大量のcaffeineが含まれる
当然、Supply-side としては、商売の邪魔になる障害物は排除したい。「コーラ迷信撲滅Campaign」である。曰く
◇コーラを飲んでも太りません
◇虫歯にもなりません
◇caffeineは紅茶のたった半分しか含まれていません


南半球AUSUTRALIAで某コ●社がこのようなcampaign活動を張ったところ、AUSUTRALIA政府の公正取引委員会のような消費庁のような組織機関(ACCC)が、それに「待った」をかけた。消費者をmisleadするとの理由から、より正しい情報を伝えるようにと是正指導したのである。曰く
*コーラと、肥満や虫歯の因果関係を言下に否定するのは間違いである。
*コーラにはcalorieがあるし、糖分も含まれる。
*したがって、飲み過ぎれば(!)太ったり虫歯になったりするのは自明也。等々。


はてさて、消費者への情報の伝え方というのは、斯くも難しい。
negative派は、別のnegativeな含意を込めつつも、あくまで修辞上は、「肥満や虫歯の原因になる」との客観的表現を用い、positive派は彼らの含意を否定したい。行司役は、含意の存在を挙証できないため、あくまで修辞上の問題に拘る…という図式。
一方で、情報の受止め手はどうか。個々の消費者に尋ねれば、「修辞だけで判断はしない」と見得を切って反撥するだろうが、massとしての消費者は、修辞上の中立的表現をnegativeな意味に捉え直していたりする。
極論をすれば、例えば、醤油瓶に「飲み過ぎると死ぬことがあります。」であるとか、ovenに「hair dryer代わりにpetを入れてはいけません。petが焼け死にます。」といった表示指導がなされることは、それ自体、正しい事実の提示ではあるが、含意はnegative campaignのそれに等しい。
尤も、そうなれば愈々世も末と考えた方がよかろう(受止め手がstupidであるという暗黙の了解がそこに横たわっていることは、この際言うまでもない)。


というわけで、コラの実清涼飲料に関しては、このような広告になるのだろうか。
(4コマ漫画が良いと思うのであるが、生憎と絵が書けないので、吹出しの台詞のみ)

<1コマ目>
A(女子高校生:ノリ子):(ダイエット・コーラという瓶を目の前にして悩んでいる)
B(Aの友人:アカネ):「どうしたの?」
A:「ダイエット中なんだけど、やっぱり飲んだら太るんだろうなって…」
<2コマ目>
C(コーラ社の広報担当:小鉄):(突然横合いから2人の前に登場)「当社のダイエット・コーラを飲んだら太るだなんて、それは迷信ですよ。肥満との因果関係が認められないというちゃんとしたデータもあるんですから。」
A&B:「ほんとに!?」
<3コマ目>
D(政府の者:春巻):(笛を吹いてイエローカードを持って登場)「是正指導します。コーラはカロリーがあるし、糖分も含まれるので、太らないというのは間違いです。正しい表示に直して下さい。」
<4コマ目>
(Aが手にするコーラ瓶の表示のアップ):「ダイエット・コーラと肥満の関係について説明をします。このダイエット・コーラは当社の通常のコーラに較べて総カロリー量を約半分に抑えました。しかし、あなたがこのコーラを度を超して飲み過ぎたとしましょう。残念ながら、それは大概肥満の原因になるでしょう。肥満予防のためには、適度な運動も兼ねられることをお勧めします。(コーラを口にしたフグ夫のイラスト付き)」

なにぶん、スカッと爽やかというわけにはいかない。
(参考文献)
http://www.accc.gov.au/content/index.phtml/itemId/867233/fromItemId/142


[*]注:小さい頃に、抜けた自分の歯をコーラやミツ●ン酢に何日間か浸漬して本当に柔らかくなるかどうかの実験をしたことがある。理科好きな、感心な御子であった。


本日の音楽♪
「Dance With Me」(村田和人