ドラマティックな結末

三面記事。俗な事件記事である。
「興味本位はやめなさい」とか「上から目線はいけません」と言われても、分かってはいても、そういう目で見てしまう。
相手の立場に立って思い遣るという作法は、確かに大切なことである。
しかし。
しかし、である。

“もぐり狩り”と称してオートバイの男性らを次々に襲ったとして、警視庁少年事件課と府中署は、強盗傷害や器物損壊などの疑いで、東京都●中市の暴走族「●連合」特攻隊長の無職の少年(19)ら18〜19歳の少年4人を逮捕した。同課によると、4人は容疑を認めているが、特攻隊長の少年は「後悔はしていない。オレに(矯正)教育はいらない」などと供述しているという。

事件の内容の善悪の判断については、論ずるまでもない。
しかし。
『俺に矯正教育はいらない』という台詞は、何やら芝居がかっている。
身近な人間からそんな発言をわたくしに向かってされたら、正直困ってしまうだろうが、「なかなか味のある発言ではあるな」とも内心思ってしまうかもしれない。
この隊長殿、実は、何か別の厳しい矜持や美学を抱える孤高の誇り高い漢(おとこ)なのかもしれないのではないかとわたくしは思ってしまった。
しかし。
しかし、である。
 

同課によると、特攻隊長の少年は「ケンカが一番強い」として総長でなく特攻隊長になったが、1月7日夜、オートバイの無職の男性(22)を襲ったところ、男性の方がケンカが強かったため負けそうになり、仲間の110番通報で駆けつけた警察官に傷害の現行犯で逮捕された。

とほほ。
魅力的な台詞に靡いて蹌踉めいたところに、男のほうが一人勝手に後ろへ転けてしまったような。
それにしても、相当にだらしのない顛末。蹌踉めいた側も開いた口が塞がらない。一体どうしてくれようか。
一流スーツを着込んでいる相手を惚れ惚れ見つめていたら、後ろ身ごろが全くなかったわといったようなシチュエイションである。
こういうシチュエイションを十分に自覚した上で、もう一度「俺に教育は必要ないぜ」という台詞を思い浮かべてみる。
途端にその意味が反転する。
確かに、その必要はなかった。
You idiot! Arse hole!
この新聞記事をロケットペンダントにしたため、終生肌身離さず持っておいで。


本日の音楽♪
「アイドルを探せ」(シルビー・バルタン)