サービス業の極意、それは愛嬌(これから商売を始めようと考えている…わたくしではない)

以前、何処であったか失念してはしまったが、コンビニエンスストアかスーパーマーケットのレジで、アルバイト店員からお釣り銭を返してもらう際に、お金を文字通り「ぽい」と放り投げて返されたことがあった。噂話には聞いていたし、コントのネタにもなっていたりしたので、そういうことも世の中にはあるのだろうなと認識してはいたが、まさか自分自身が実際にそういった経験をするとは思わなかった。
その時は、腹が立つと言うよりも、こういった非常識な振る舞いが現実に存在するのだということに驚いて、その若い青年店員の顔をまじまじと、暫くの間、見入ってしまった。一目惚れをしたのかと勘違いされたかもしれない。
非日常空間で特別天然記念物を目にしたような心境であった。ちなみに、特別天然記念物に指定されているニホンカモシカは、と或る地方においては、近隣の里山に足を踏み入れると結構な頻度で出くわすほどに繁殖していたりするので(しかも彼奴等は妙に人馴れをしていて、急接近をしない限り逃げようとはしない。牛の仲間というのもさもありなんと頷ける連中ではある。)、特別天然記念物だからといって殊の外希少ではないことも厳然とした事実。
親心を見せて、いじわる婆さん宜しく、「この罰当たり奴がっ」と厳しくお灸を饐えれば良かったのだろうか。


一方、こちらは、今でもはっきりと店の名も場所も覚えているのであるが、とあるチェーン系飲食店で定食を注文した際に、暫くして店員がトレーに定食を並べて持ってきた。わたくしは、有り難うとテーブルの上(空中)でそれを受け取ろうと、トレーを掴んだところ、やや年季の入った感のあるその店員は、わたくしにそのトレーを手渡すでもなく、自分が、この自分がっ、テーブルにシカと置きますから!とばかりに、ぐっと力を入れて引き戻す。ムキになったわたくしが、自分でテーブルに置こうと引っ張り返す。暫し、トレーを巡る綱引きの膠着状態に陥る。約数十秒の無言の綱引き。全く大人げないといったらありゃしない。どっちもどっちの振る舞いなのではあるが。
後で、その店員の胸プレートを見たら、店長さんであった。


サービス業の本旨は、接客にあると見たり。当たり前といえば、当たり前田の…。しかし、誰もが其処への投資を十分に施しているとは言い難いというのも、これまた厳然と輝く事実也。


本日の音楽♪
「宗右衛門町ブルース」(平和勝次とダークホース