厭きない商い

Kel「そんな難しい顔して、どうしたい。また、変なモノ拾って口に入れて、腹でも下しているのかい。」
Yon「いや、ねえ。音楽グループバンドがあるだろ。あれってどのバンドもさあ、どうして長続きがしないで、よく解散をするのかなあって考えていてね。」
K「また、相変わらず下らないこと考えてるねえ。老い先の残された時間も僅かだっていうのに。お前さん、離婚の三大原因が何なのか、知ってるかい。『性格の不一致』、『浮気』、『金銭関係』。それと同じさね。」
L「ふうん。人気絶頂の時でも解散なんて話をよく耳にするのは、結局、仲違いとかそういったわけなんだろうか。」
K「離婚だって喧嘩別ればかりじゃないさね。『いつの間にかお互いを必要としなくなってしまいました』とか何とかうわべ恰好良いこと口にして円満解決を強調したりしてはいるけど、簡単に言えば、『厭きちゃった』っちゅうことさね。」
L「厭きてしまう、ねえ。確かに、何年かしてほとぼりの冷めた頃に再結成なんて話をよく聞くなあ。だけど、どうして同じ音楽グループでも、●ーク●ックスや●ューク●イセスや●ニー●ャックスは解散しないんだろか。彼らは、厭きていないっつうことなのかね?」
K「また、下らないことを、お前さんは。そりゃ、連中は商売だから続けてるに決まっているだろうが。」
L「じゃあ、それ以外のバンドは商売じゃないっつうことなのかよ。」
K「そうさね。普通のバンドなんて道楽さね。考えてもみてごらんよ。明日のおまんまを口にするためにギターを抱えましたなんてバンドがこの御時世どこにあると思うんだい。みんな、姉ちゃんにチヤホヤされたい、好きな歌を唄っていたいっていう動機だけなんだろうさ。」
L「ははあ、なるほど。彼らは道楽だったのかあ。そう言われてみれば、何だか納得できるなあ。難しく言えば、個人的欲求に強く依拠した行動形態ということではあるな。」
K「ちっとも難しくも何ともない。少なくとも一般人が社会人になった時に薫陶を受ける職業感とか社会的使命みたいなものは持ち合わせていないんだろうよ。だからといって、連中が劣っているとは言わないがね。」
L「30年同じバンドを続けてきて漸く俺たち並みの職業感が持てるってワケだ。」
K「その前に、お前さんの転職癖何とかしなよ。」


音楽関係者が目にすればこの偏見の会話に怒り心頭かもしれない。
ところで、こんなわたくしでも音楽バンド経験というものがある。勿論アマチュアバンドで、スタジオで初めて皆で演奏とコーラスを入れたデモテープを作って、それを聞いて、わたくしは、スーパーカミオカンデの更に大地下に存在する(しない)シェルターにこの身を一切隠してしまいたい思いを大変強く持った記憶がある。あれ以来、楽器(ベース)は手にしていない(この間はカラヲケで97点採ったのに)。


本日の音楽♪
花まつり」(石井ビューティー