鉄の魂

脱力系に近い三面ネタ。特急通勤内での犯罪記事である。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090715/crm0907151243012-n1.htm

●武鉄道の特急電車のトイレに、トイレットペーパーを詰まらせたとして、警視庁●草署は器物損壊と偽計業務妨害の現行犯で、●玉県●代町、学習塾講師、●●●一容疑者(50)を逮捕した。同署によると、●●容疑者はこの特急で通勤しており、「自分の父親は厳格な鉄道マンだったのに、●武の駅員はしっかりしていない。これまでに10回くらいやった」などと容疑を認めている。

犯罪であれば、それには明らかに重軽はあろうし、それ相応の罪をもって裁くのはその筋の方達に任せることとして、この報道記事に接して、罪状以外の部分で感じたわたくしの率直な感想を以下に3つばかり記述しておこうと思う。


その1:尊敬される容疑者の父親像。
厳格な鉄道マンであったことを誇りに思う息子を持った父親は幸せである。その息子が犯罪に走ってその幸せが相殺されてしまうのが何とも無念無惨ではあるが、敢えてその点を捨象してみれば、父と子という関係において、羨ましき親のカガミであるようにさえわたくしは思った。
そして、息子に誇りに思われるような「厳格さ」というものは一体どういうものだろうかという想像を巡らせてみるのである。
普段からいつでもどこでも整列乗車や交通法規遵守は当たり前。模範的な車内マナー、行動時間の厳守、入念にも入念な安全点検、見ず知らずの人とも行う挨拶の督励など。ふしだらふまじめなわたくしが考えるほどに、傍に居て息が詰まってきそうになるのではなかろうかと却ってネガティブな思考が芽生えがちになるのであるが、それでも尊敬を集めてしまう行動規範というものをわたくしは怖々ながらも知りたいとは思う。


その2:本人は何故父親の職を継がなかったのか。
尊敬の延長線として、父親の後を追ったのかもしれない。しかしながら諸般の事情によって、不本意にも今の職種に就いているのかもしれない。そこのところのドラマ事情の詳細は承知をしないが、いずれにせよ、父親の後を追って鉄道マンになることが充足のシナリオであったというようにわたくしは安易にも考えた。
ちなみに、こうした世襲制は、政治家や料理研究家(!)、あるいは、特定郵便局伝統芸能に携わる人々たち等の間で一般的ではある。而して、親子何代に亘る鉄道屋というものも小説のようなもので、そう珍しくもないのではないか。そして、それは決して白眼視されるものではない。


その3:当該鉄道社員は、どのようにしっかりしていなかったのかという詮索。
鉄道会社側にあっては、明らかな被害者であるにも関わらず、「しっかりしていない」などと相当に理不尽な犯行動機を開陳されて、大変不本意な思いが鬱積しているのではないかと思われる。是非にとも、踏んだり蹴ったりの彼らからの反論も聞きたいところではある。
当該路線については、かつてわたくし自身も随分長い間通勤に利用させていただいたことがあるが、サービスが特に悪いと言った印象は持っていなかった。駅員が殊更不親切であるとか、ホームがえらく汚れているだとか、時刻通りに電車がなかなかやって来ないだとか、そういう最低限の水準はほとんどクリアしていたようにも思う。(終電の終着駅が悲惨であった思い出はいつか書いたが、それも言ってみれば、自業自得。)
その上で、プロ(?)の目で見たサービスの要求水準が一体どういったものであるのかといったことや、顧客満足度の一層の向上のために何を求めているのかといったことについては、誰もが興味ある事柄ではなかろうか。


本日の音楽♪
「Anarchy In the U.K.」(SEX PISTOLS