男たちは北(西)へ

走れメロス!? 自転車盗み300キロ激走も力尽き御用

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090610/crm0906101100007-n1.htm

どちらかといえば、ほのぼの系の部類に入りそうな三面記事。

同署によると、●生市から●島県内に住む弟に会うため、約20日間かけて自転車で300キロ近く走破したが、力尽きて同県●田町の交番に出頭。「父が亡くなったことを弟に伝えたかった」と供述している。

読者はきっとこの「父が亡くなって…」の下りのあたりを読んで、事件の裏に流れる熱いドラマにぐっとその思いを寄せていたりするのではないだろうか。
しかし、ひねくれもののわたくしの受け止め方は少しばかり異なる。
わたくしに違和感を感じさせる部分は、「約20日かけて300㎞を走破」という箇所である。
自転車での遠乗りに関して多少の経験がある者ならば、すぐにピンとくるに違いないが、20日で300㎞、つまり一日平均15㎞ペースという走行の姿を想像するに、それはまったく「激走」でも何でもないのではなかろうか。
比較をしてみるならば、24時間テレビの旬なタレントが恒例行事でやっている長距離マラソン。あれよりも緩やかな、のんびりペースの自転車行なのである。

恐らくそれほどの高低さがなければ、ロードレーサーでなくても、子供だましの自転車でもって一日に100㎞を走り抜くことも不可能ではない。
わたくしの最高走破の経験に照らせば、125㎞、標高差500㍍を一日で駆け抜けたが、それも激走と言うよりも、休み休み進み、踏破したという感じであった。
長期間連続で乗り続けて、自転車のほうがへたることがネックかもしれぬ(約1万円の自転車ということなので、おそらくママチャリだろう)が、15㎞ペースは酷使とも言えまい。

同署によると、弟の住所まではたどり着いたが、すでに引っ越していた。所持金は10円で、「3日間くらい何も食べておらず空腹だった」と話している。

ということは、体力が一番の問題であったか。
いずれにしても、あっちをふらふらふら〜、こっちをぶらぶらぶら〜の自転車行だったのではないかと。
記事の表題にあるような「メロス」、「激走」、「力尽き」という描写は余りに脚色が過ぎるんではないのだろうか。寧ろ「ぶらり途中下車の旅」という表題のほうが適切ではなかったか、というのがわたくしの本日の結論である。


本日の音楽♪
「ホームにて」(中島みゆき