バリウム飲む前にげっぷして怒られた

年を取る毎に定期健康診断は憂鬱な代物になっていく。特にここ最近は、毎年、何かしらの検査項目が増えていっているような気がする。被験者に対するサービス充実のつもりかもしれないが、特にそこまで調べ上げていただかなくてもわたくしは結構で御座いますという心境である。
バリウムを飲んで、レントゲン台の上で、あられもない姿で、不器用にごろごろと反転をする度に、「何の因果で…」と、悲愴感に打ち拉がれてしまう。
そして、結局のところ、爾後何かの項目でイエローカードやレッドカードを出されない試しがない。精密検査でまた一日を費やすか、自分の躰に対する疑心暗鬼を増幅させているだけのような気がしないでもない。
中でも対面の健康相談は何やら儀式めいており、気恥ずかしく、かつ、七面倒くさい。
いたく若い頃は「お酒の飲み過ぎに注意しましょうね。」といったご忠告が多かったように思うが、十年くらい前からは何かと食生活について口うるさく言われるようになってきた。曰く、一日三回規則正しい食事、バランスのとれたメニュー(日本型食生活という奴)、早喰い厳禁、脂肪分塩分の摂りすぎに注意等々。
最近は、折からのメタボブームからか、こうしたダイエタリ以外に、適度な運動奨励の掛け声が非情に多くなっている。そういう指導方針がきっとあるに違いないのだろうが...
「ちょっと体重オーバーですね。何か日常的に運動してますか。」
「スポーツは特に致しておりません。」
「水泳とかジョギングとか。ウォーキングなんかもいいんですよ。」
「毎日、通勤に往復2㎞以上は歩いているのですけれども。」
「それはいいわね。少し早足で歩くとかすれば、もっといいわね。」
「通勤途上、標高差30㍍はあろうかという坂道を毎日上り下りしております。」
「あら、すごい。」
「毎日、向かい風の中を歩いておりますために遅刻が多いのです。」
「…本当に?」
減量を志向するために何よりも必要なのは強いインセンティブなのである。


本日の音楽♪
「戻っておいで私の時間」(竹内まりや