テレビの中に

【朝】
ある朝、国営放送の朝の連続テレビドラマ小説をぼんやり眺めていた。普段から習慣付けて視聴しているという朝ドラフリークでは勿論なく、朝起きて何となくテレビを点けてみたら偶々放送をしていたというもの。
ドラマタイトルもよく知らない。多部さんの出ているやつ。
寝惚けた頭で、「最近はどういった朝のドラマをやっているのか」と思って、テレビの中のお茶の間での団欒らしきシーンをぼんやり見ていたら(久世演出ぽいなあと思って見ていた)、突然そこにヒデキ率いる浅草サンバチームが激しく踊りながら乱入をしてきた。
何が何やらわけが分からないシュールな展開に、最近は国営放送も壊れ激辛南蛮煎餅の如く、プライドをかなぐり捨てて砕け果てていることを実感する。その姿勢や良し。
御陰様で、少なからず目は覚めた。
ちなみに、ヒデキは相変わらずヒデキ。多部さんは少し未だ生硬でしょうかね。


【夜】
ある夜、テレビを点けてみたら、最初はよくありがちなバラエティ番組かと思って見ていたら、科学色濃い番組を放送していた。
「飛び出せ科学君」という番組。その日のテーマは、国立科学博物館の舞台裏を訪問するというものであった。
民放、しかも、夜十一時台ということもあり、制作局の分類に従えば、矢張り教養番組ではなく、バラエティの範疇に含まれているらしく、その点で制作側の意図が見え透いていて残念なのではあるが、それでも視聴者が科学に興味を持つ方向へと作用するのではないかとわたくしがポジティブに感じ取った点を以下に指摘しておく。

◆ガイド役となる主演の2人(田中直樹くんと中川翔子さん)の健全で旺盛な好奇心。ホルマリンや骨の標本を見ても、「きゃあ怖い」とか「汚いから触るのは嫌」といった興醒めな台詞を決して口にしない。この鉄則を守るかどうかで、科学に向き合う姿勢というものがよく分かる。
◆ありのまま、汚いままを映してみせる。ワゴンに整頓して載せて持ってきて、「ではお宝拝見」といった安っぽい見せ物演出はしない。何十年前からコレクトしているアカネズミの標本群や、動物の死体から骨格標本を作るための微生物分解タンク(なべ)等をありのままに見せるのは、大変に宜しい。これぞリアリズム。テレビの前で臆面もなくドキドキしてしまった。
◆一緒に見て回った科学博物館の先生がクールでウィットに富んでいて、接点役として申し分ない。何より恰好良い。極端に毛髪量が多いか少ない、声量の加減の効かない、風采の上がらない中年のおじさん学者じゃ、ちょっとね。正直萎える。

しかし、次回放映予定の予告編を見た限りでは、矢張りバラエティ色が強すぎて、元の木阿弥に陥りそうな気もしないでもない。
アカデミックな探求心に火を点けてくれるきっかけになるものなのかどうかは、今暫く判断を猶予したい。


本日の音楽♪
背景に流れるピアノ演奏の独壇場。
セルロイドシティも日が暮れて」(KAN