蓼食う人々

以前、この場(3月19日付け「誉め称しているのは誰」参照のこと)において、仕様もない内容の主張コラムを取り上げて、売文家の蝋化硬化の思考具合を嘆いてみたのであったが、わたくし以外の読者もきっとあれには辟易とさせられたに違いないと思いつつ、あのコラムに対する読者コメント欄を覗いてみた。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/p/79/
(下段コメント欄をクリックすると18件のresponseがある。)
すると、意外にも、厳しい声に混じって、其処此処に見当たるものである。「爽快」、「的確」といった賛同讃辞の声が。
「爽快」なのだそうである。つまりそれは、気持ちがよいということである。
ははあ、成る程。世の中にはいろいろな快楽の感じ方をする人がいるものだと思いつつ、一方でこうした様々な受け止め方があるという多様性(diversity)の確保が或る意味社会の健全性にも繋がっているのであるのだな、と得心をした次第。
雑種強勢のように社会が一段と強靱なものになれば、なお望ましいのではあるが、流石にそこまでは。融合のシナジー効果が及ぶ前に、良貨を駆逐する悪貨であっては、どうにもこうにもであろう。
そんなこんなの複雑多様な社会をものともせずに、相変わらず当該筆者御仁の単視眼は、冴えまくっているようではある。…この矛盾と皮肉。
返す返すも因果な稼業と見受ける。



かと思えば、この場(3月26日付け「13才からのハロー・ワーク」参照のこと)で、上記とは別の、これまた仕様もない内容の主張コラムを取り上げて、わたくし自身としては出来る限りの寛容な精神をもって、贔屓の引倒しを企図してみたところ、読者はそれ以上にエキサイティングに怒り捲っておられるようであり、これでは筆者もお気の毒ながら反論のきっかけが掴めない。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/y/151/
(下段コメント欄をクリックすると84件ものresponseがある。小さな灰皿の中の小火(:ぼや)。)
筆者個人にというよりも筆者のバックボーンへの反感反目が大きいことが背景事情にあるようにわたくしには思えるのであるが、此方の世界は残念ながら多様というには程遠い状態といったところ。
もともとの発言がでら仕様もねえレベルのものであるから、取り繕うしまというものが初めからほとんどないのではあったのであるがね。
どこの世界であっても、自らが自らの業界の正当性など力説しないというのが大人の美学である。それとも、「言わぬが花」では商売にならぬということか。
何はともあれ、こちら様も因果な稼業とは言えよう。



気分をお気楽にして、以下の記事。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20090402/143339/

世界最大の旅行クチコミサイト「TripAdvisor」の日本法人トリップアド●イザー(本社:東京都港区)が2009年4月1日発表した「外国人が最も注目した日本の観光スポット2008」によると、「築地市場」が歴史的な価値の高い有名観光スポットを抑え、総合ランキングで大差の1位となった。巨大なマグロの競りの迫力や場外市場の新鮮なすしが人気の理由となっていた。
 総合ランキング2位以下のベスト20は、2位「東京ディズニーランド」、3位「ポケモンセンター東京」、4位「六本木ヒルズ」、5位「東京ディズニーシー」、6位「浅草寺 浅草観音堂」、7位「金閣寺」、8位「伏見稲荷大社」、9位「スパワールド」、10位「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」、11位「大江戸温泉物語」、12位「清水寺」、13位「スパ ラクーア」、14位「大阪城」、15位「明治神宮」、16位「宝川温泉」、17位「海遊館」、18位「四天王寺」、19位「北海道神宮」、20位「新宿御苑」。

渋い。渋すぎる。
なにゆえ日本にやってきて(主要経路は、Home…→Narita→Tokyo→Sightseeing Spot となろうか)、水上(16位「宝川温泉」)くんだりまで脚を延ばすのか。水上に外国人を喜ばす何があるのだろう。北海道の名所はと言えば、地元民も吃驚の19位「北海道神宮」である。北海道まで行って、目当ては神社なのか。ビール園でジンギスカンは食べないのか。18位「四天王寺」界隈で外国人は一体何を愉しんでいるのだろうか。
SPA系も外国人はお好きと見える。
そう言えば、昔、米軍基地の近傍にあった某温泉保養施設に出向いた際に、ある金髪外人さんグループは、岩風呂に取り付けられた滝(打たせ湯)の前で、全裸で手を腰に当て仁王立ちの儘(タオルで何もつつみ隠さず、盛大に主張した儘)、湯に打たれて欣喜雀躍としていた。
何がそんなに’Terrific!’なのか(それと前を隠せ前を)。

それにつけても、日本人でも行ったことのない隠れた名所が並ぶ。
東北、中部、中国四国、九州からのノミネートがないのは淋しいが、仕方がないといえば仕方がないか。
これを見れば、日本人と外国人の食性は、やはり大きく異なっていると断言せねばなるまい。日本人は牛蒡を食べ、外国人は玉蜀黍を粉にして食べているようなものなのだ。
これほどエキセントリックでカルトなノミネートが赦されるのであれば、わたくしも是非ともお勧めをしたい。
大都市圏からのアクセスはいずれもそれほど不便ではない(せいぜい宝川温泉なみ)。

アミューズメント施設→「熱海秘宝館」
◆温泉→「湯西川温泉」(「平家落人の里」付き)
◆神社仏閣→「伊勢神宮」(本当は、鎌倉大仏高崎観音コクピットに潜り込んで、コンバトラーVよろしく操縦をして動かしてみたいと彼らは望んでいるのかもしれないが、それは残念ながら'bogus intelligence'である)
◆公園→「向島百花園」(漢方の宝庫)
◆街→「畝傍」辺りで如何か。

いずれにおいても、極東の地の極上のわびさびカルチャーの世界を十二分に堪能できよう。



本日の音楽♪
「彼女」(佐野元春