日本医師会の資料「医療分野における課題」の中には医師数の絶対的不足に関する記述が一切ないのであるが

http://www.kantei.go.jp/jp/keizai_kaigou/090321/090321_02.pdf
地域や医科別の偏在性はあるにせよ、産婦人科医の量的不足は相当深刻化しているというのが最近の世間一般の共通した見方として固まりつつあるように思える(産婦人科医数はこの十年間で約12%の減少という公式データがある)。

◆愛●病院が総合周産期センター返上申し出 当直維持困難
http://www.asahi.com/national/update/0325/TKY200903250428.html

そういった認識の下で、このような記事を見れば、即座に「おかみは何をやっているのか」ということになるわけであるが、一方の当事者であるところの都の副親分氏は、同時期に、周産期医療対策に関して、このようなことを宣っている。

◆1床あたり年間700万円以上も赤字では…
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090325/141019/

つまるところ、周産期医療のための必須施設機器であるところの新生児集中治療室に関する収支分析を行ったところ(自分の指示によって本邦初!のI&E分析に踏み込んだというところを強調したいらしい…)、都の補助金込みでも1床当たり年間700万円の赤字になってしまうので、これでは病院側に増床インセンティブが働くはずがない、ということらしい。
新生児集中治療室の増床は国の方針との由。
そこで、副親分氏は、国に対して赤字補填に必要な補助金の助成(あるいは日医が喜びそうな診療報酬の嵩上げ)を求めているわけであるが、仮にそれが実現したとして(種々議論のあるところの更なる国民負担支出についての社会合意があったとして)、一方の焦眉の急と言われているトレーガー確保はどういうことになるのだろうか。
ボーナスで釣ろうということか。
それとも、それは所管外(国)ということか。


第一の報道が伝える職場環境処遇の問題、第二の情報が伝える高度施設の絶対的容量の問題、そして冒頭のトレーガーの常態的不足の問題。これらを一発で解決するような妙案があるわけではない。
しかしながら、これらがイコールフットの問題であることは誰しもが認めるところであろう。
そしてその根は相当に深そうである。
その上で、上記2つのメディア情報を照らし合わせて見比べている限りにおいて、両方の当事者達(現場の当事者とヘッドクォーターの当事者)の問題の置き方捉え方というものには、不連続な断層があるように思えてならない。
状況が深刻であれば尚更、その不連続性というものが気になる。


そもそも、今回の地域行政側における改善策の選択ボタンは、誰がどのようにして押しているのであろうか。
「役人は現場感覚がなさすぎる」という批判を良く耳にするところではあるが、そういうことのないようにヘッドハントされた副親分氏なのであろうから、ボタンの選択に関する説明責任くらいは(本来は行政側には政策の結果責任も求められるところではあるが現段階ではそこまで言わないでおこう)、透明性と自負を持って、是非とも果たしていただきたいところである。
所詮「凡ゆる責任の所在は国である」という転嫁の考え方は、当事者としてもコーディネーターとしてもインタプリターとしても、その役者世界には存在し得ない台詞であるからにして。
また、新生児集中治療室に上乗せ手当が認められれば万々歳と言っているだけなのであれば、日●原先生の総理官邸でのご発言のほうが余程力があるというものであるからにして(優秀なブレーン(私的スタッフ)を抱えた集団が白寿になんなんとする一老人の頭脳に敵わないというのは、それはそれで痛快)。
http://www.kantei.go.jp/jp/keizai_kaigou/090321/090321_08.pdf


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