鼻提灯

昨日に続いて、dodgyな記事を見つける。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090317-00000000-cbn-soci
◆いびき軽減グッズは根拠なし―公取委
 「睡眠時に鼻につけるだけでいびきを軽減」などとうたって販売した商品の効果に科学的な根拠がないとして、公正取引委員会は3月16日、●ップトウキョウ(東京都千代田区、松浦由治代表)、●ップフジモト(大阪市中央区、藤本久士代表)、●ートロン(千葉県市川市、吉田紀男代表)の3社に排除命令を出した。

鼻クリップであるな。
関係社からの治験データの提出は一切なかったということであるから、鼾軽減の効果の程は、残念ながら挙証できていないと客観的に判断せざるを得ない。
尤も、当該一社の方は逞しくも意気軒昂な態度を示している。

●ップ両社は、「実際のものよりも著しく優良であると示す」表示だったことを認めた上で、「いびきクリップ」の販売を中止し、商品の返却などにも応じる構えだ。一方、●ートロンは「当社の商品は磁石を使ったものであり、アンケートで利用者の74%が効果を認めている。排除命令には強い不満を感じる」として、表示を変更した上で販売は続ける方針という。

アンケート結果のみでは、惜しむらくも第三者への説得力としては十分とは言えまい。
表示を変えて今後も販売を続けるそうであるが、社の心意気と誠意を示す意味からも、是非治験データの再提出を望みたいところではある。
恭順の意思を示したもう一社のほうについては、彼の主力商品の方面に影響が及ばないことを祈念したい…。


だいぶ前のことになるが、記事の社とは全く関係のない別の某社(シドニー五輪で人気を博した某アスリートのスポンサー社として名を馳せていた)店舗を訪れた際、自社のゲルマニウム製品やら機能水やらをさんざ勧められ、効果を示したいが為のいろいろな実演パフォーマンスに付き合わされたことがある。
その時にわたくしは、荷物が軽くなっただの、体が柔らかくなっただの回りくどいパフォーマンスに長々と時間を費やして説得をされるよりも、治験データ1枚見せて貰えればそれで十分なのにとしみじみ思った。
そんなこともあって、例えば中高生の駅伝大会などで、’膏薬婆さん’のようにぺたぺた体に同社の色々な魔法のシールを貼り付け、同社の鉱物類をじゃらじゃら纏わせている少年少女選手の光景を目にするにつけ、わたくしは、彼らの敬虔さというよりも寧ろ、そこはかとなく気不味い心持ちになるのである。
プロの野球選手や取的さんであっても、正直なところ、それは格好良いファッションとは思わない。


話が横道に逸れた。
さて、記事を読んでわたくしが気になったのが、この排除命令という行政指導行為を下した主体が「公正取引委員会」という機関であるということである。
てっきり薬事法違反なのかというと、そうではない(本品は医薬部外品であった)。
記事中には示されていないが、景品表示法違反(優良誤認)のかどである。
公正取引委員会は、かつてと異なり、独占禁止や不当取引、不当廉売の領域以外に、最近こういった不当表示行為を盛んに取り上げているのではないかと考え、この変節には、消費者庁への移管を牽制している意味でもあるのだろうか(景表法は同庁への移管が決定していた由)と思いつつ、下記の公取サイトをチェックしてみる。


http://www.jftc.go.jp/pressrelease/keihyojiken.html
すると、リスト化されているプレスリリースの一件一件を全て吟味したわけではないので大雑把な数値ではあるが、景表法絡みで取り上げられた事案件数は、
 (H14)19件
 (H15)15
 (H16)18
 (H17)21
 (H18)25
 (H19)29
 (H20)30
と、過去もそこそこの件数ではあったが、確かに近年は、漸増傾向にあることが分かる。
この中でもマイナスイオン商品などはバシバシ取り上げられており、成る程と思う反面(家電製品にも当時きちんと指導が入ったのであろうか?)、某御仏壇における参照価格のような、何もそこまで事細かく追求しなくても…と思うようなお気の毒様な事例も見受けられる。
一体どういう裁量が働いているのであろうか。
また、医療行為に近い分野において、治験の効果を確認することのできる専門的スタッフはどうしているのであろうか。


そして、繰り返し述べるが、公取がというわけではないにせよ、今後、某社主力製品であるところの所謂磁気製品の医療効果に迂闊に手を出すとなると、結構泥沼に入りそうで、わたくしとしては怖々観察を続けてみたいような見たくないような、の心境ではある。


本日の音楽♪
「虹と雪のバラード」(トワ・エ・モア)