スターはわたくしだ

芸能界志望の話である。
また、花田秀次か(1月20日付ウメカニズム参照のこと)と思いきや、それとは全く関係がない。


小学校時代、同じ学年ではなかったが、学校の中に、芸能界志望を明確にした(学校内で)有名な女の子がいた。歌手志望であった。
誰もが容姿問わず勘違いできる今の自己主張の時代とは異なり(個人主義とも言う)、世間体を重視していたその当時としては、大変珍しい存在である。


おそらく本人は、アイドル志望だったのではないかと思われるのだが、当時全盛であったアイドル登竜門オーディション番組の予選会に彼女も何度かアタックをかけていたという話は耳にしたことがあったものの、ついぞ本選会でその姿を見たことはなかった。


しばらくして、別の番組、それはどちらかといえば、演歌歌手志向の純・大人向けのオーディション番組であったのだが(昔はそういうきめ細やかな登竜門番組が多くあったのだなあと今更思う)、ある日テレビをつけると、その演歌登竜門番組でその少女の姿を見つけた。
子供には何だかよくわからない大人の歌を唄っていた。
生憎、本選には出たものの、その次のステップには進めなかったというように記憶しているのだが、哀切と演歌を歌う彼女を見て、「それほどまでして芸能人になりたいのか」と焼き芋屋さん志望(一時期)の子供は、小さな赤い衝撃を受けていた。


あの少女は、今、自分の子供に見果てぬ夢の何かを託していたりするのだろうか。
もしも仮に、あの時にアイドルに本当になっていたりして(わたくしの審美眼でも相当地味目な容姿であったが)、いま振り返って、“あたしもぼろぼろに振り回されたわよ、アイドル時代、、、フッ”なんて渋がって述懐してみたりするのだろうか。


先日も、駅前で弾き語るストリートシンガー少女を見かけた。
容姿端麗、歌唱力もキーボード演奏も大変玄人はだしであった。
「この子も芸能界志望なのだろうか」などと、かつてのあの少女を思い浮かべながら、帰りの家路を急いだ。



本日の音楽♪
アイドルの話だから、アイドルを出さねばなるまい。
そして、わたくしのモットーからして、直球豪球勝負はよもやできまい。
そこで

「秘密し・た・い・ナ」(黒沢ひろみ)