ALL YOU NEED IS MONEY

1万円のお札が手許にあるとする。
これを誰かに売ろうと思うのだが、1万円より高く買ってくれる人は居まい。
また、わたくしも1万円よりも安く売りたくなど毛頭ない。
而して、1万円のお札は1万円で取引される。
1万円のお札の価値はきっぱり1万円なのだということである。
これが経済の仕組みであり、人々の活動の源泉の根幹部分でもある、というふうにわたくしは理解をしているが、経済のイロハをここで論ずるほど、わたくしは経済学に傾倒してはいない。
偉そうに経済なんて言葉を使っては、その筋の方々に揶揄われるだけなのである。

古本屋に雑誌を持ち込もうとする見るからに住所不定らしき風体の御爺さんがいる。
わたくしは古本屋に入り浸っているわけではないが、それでも行く度に時々見かけるので、それ以上にしょっちゅうの頻度で来られているのだろう。
持ち込む雑誌のほとんどが駅やコンビニに置いてある無料情報誌の類で店員に「買えない」と突き返される。
それが何度もあって、同じ光景を見かける。
繰り返し流される古本屋のBGMと重なってデジャブが錯綜する。
なんだ駄目なのかよう、ちっと呟きながら、御爺さんはふたたび外の世界に帰って行く。

毎日、ヤ●ダ電機に来店し、ポイントカードに10ポイントずつ貯めて、1年経って電化製品にかえて、換金する。
街角でもらったポケットティッシュをこつこつ貯めて、古紙回収業者に持ち込む。
カレンダーに無料配布イベントのある日をこまめにチェックして書き込んでいる。。。

何かを捨てなければ、何かを得ることは出来まい。
とは言え、やはり、わたくしは、この湖の畔で静かに暮らしていたい。

本日の音楽♪
「Last Smile」(ラブ・サイケデリコ)