空も飛べるはず

夢の中で(という条件を強調した上で)、わたくしは空中遊泳ができる。
現実の世界でそんなことが出来ると広言するのは詐術士以外の何者でもないし、かれらのひけらかす証拠に対しては、当の本人に対してではなく、写真撮影に関する技術革新にこそ賞賛の声を与えるべきものであろう。

それは兎も角、わたくしの夢の中での遊泳は、そういった座禅ジャンプといった瞬間芸の類ではなく、また、何の補助動力機械を用いることもなく、行われている。
スピードは出ない。また、制御もなかなかに難しそうである。したがって、あまり高くまでは上昇できないし、それほど颯爽とした飛び方ではない。
イメージとしては、竹コプターやパーマンではなく、おばけのQちゃんの飛びようといった感じだろうか。

しかし、夢の中で空を飛ぶわたくしは、空中に身を投げ出すときのあの息のつまる瞬間や、上昇・下降するときの胸の圧迫感、足の竦(:すく)み、そして全身に亘る浮遊感、不安定感というものを確かに実感をしている。
ただし、歩行するよりも多くのエネルギーを費やすようであり、しかも速度も駆け足のそれと大差ないため、余り役に立っている様子はなさそうである。爽快感もさほどではない。
Qちゃんもそうだったのだろうか。

飛ぶ夢は子供時分に多く見るという話を聞いた覚えがあるが、わたくしは齢を重ねても、ときどきに(といってもその頻度は、例えば街で芸能人に遭遇する程度に少ないものであるが)見る。

なお、わたくし自身へのこうした現象に対する夢分析は、一切合切不要としている。後付解釈であれば、それはいくらでも可能であるのだから。夢に背意はない。

また、話のついでに、浮遊感を感じさせるアニメ映画をここに掲げておこう。
宮崎駿作品(「天空の城ラピュタ」など)ではあまりにも当たり前すぎるし、わたくしの夢の浮遊感とは少し違うような気がする。
もう少し不安定で眩暈を伴うイメージ。
ということになれば、やはりこれしかあるまい。
海外人口に膾炙している宮崎作品以上に、世界に誇ってもよい作品である。
鉄コン筋クリート」(監督:マイケル・アリアス、原作:松本大洋 …… 松本大洋の母が工藤直子だとは知らなかった。)

そして、Qちゃんについては、いずれ、もっと詳しく語ってみたい。Qちゃんは、わたくしにとっての大親友であるので。
今日はとりあえずその姿だけ。

本日の音楽♪
スピッツはまた別の機会ということにして、
「犬と猫」(中村一義