アメリカよ。

米国籍を持っているわけではないので、かれら米国民のような高揚感を共有するというところまでは難しいが、第44代オバマ大統領の就任演説は、素晴らしいものであったと日本人であるわたくしでも感銘した。

何よりも国家に語りかける(国家という枠組みを通じて国民に語りかける)という明確な姿勢が、持たざる者からの立場として率直に羨ましい。
「右」や「左」の柵(:しがらみ)をこえて、個々の民は自分たちの国を正面切って考えるということが一体どうしてできないものなのだろうか、とこの国のことを寂しく思う。
などと書くと、やはり「右」だとか「全体主義」だとかのレッテルを貼られ、黴臭い棚に分類、封入されてしまうのだろうか。

利己(自己ではない)を乗り越えて、家族、隣人、地域、国家、そして世界のためにひとりひとりが奉仕の精神で貢献する(演説の中にも出てくる「新たな責任」)という考え方は、たいへんに古くて、そして新しい概念だとわたくしは考える。
それはけっして個々人の自由を侵害するものではない。

ところで、この国で彼様な就任演説をどなたかがした場合、右・左の御指摘は何とか無視できたとしても、「精神論、観念論すぎ。具体策が盛り込まれていない」「株価が下がった!」といった唾棄したくなるような論評擬きが出てきはしまいか。。。と、殊更卑下してしまうのも、それはそれで偏狭に過ぎるか。

各紙の演説邦訳を貼っておく。
【朝日】
http://www.asahi.com/international/update/0121/TKY200901200395.html
http://www.asahi.com/international/update/0121/TKY200901200395_01.html
【読売】
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090121-OYT1T00132.htm
【毎日】
http://mainichi.jp/select/today/news/20090121k0000m030175000c.html
http://mainichi.jp/select/world/obama/speech/news/20090121k0000m030176000c.html
http://mainichi.jp/select/world/obama/speech/news/20090121k0000m030177000c.html
http://mainichi.jp/select/world/obama/speech/news/20090121k0000m030178000c.html
【産経】
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090121/amr0901210948015-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090121/amr0901210948015-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090121/amr0901210948015-n3.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090121/amr0901210948015-n4.htm
【日経】
http://www.nikkei.co.jp/senkyo/us2008/news/20090120e3k2001720.html

要旨要約のところもあるとはいえ、訳し方が、各紙で微妙にというか結構違いますね。やはり頼るべきは一次資料→原文か。
それでは、英語の勉強も兼ねて。
【原文要旨】
http://www.pic2009.org/blog/entry/president_obamas_inaugural_address/

本日の音楽♪
「America」(サイモン&ガーファンクル