ウメカニズム

数多の漫画あれど、楳図かずおがわたくしは大好きである。
世の中には彼を崇拝するカルトフリークファンが数多く存在するとは聞いていたが、じっさいに専門サイトなどを覗くと、これほどまでのものなのかと驚き、呆れ、そして感心させられる。

わたくしも高校時代には友人と一緒に、知る人ぞ知る登場人物、御大、花田秀次の「度胸花」に自ら曲をつけて、たっぷりコブシをつけて唄っていたほどの昔ながらの信奉者なのであったのだ。ギャグ漫画のほうではもちろんない。相当間抜けで、いかれた高校生だったのだろう。度胸花の詞はこうだ。

 度胸花(唄 花田秀次)

  燃える夕日を
  背中に受けて
  男が咲かす 度胸花

ちなみに、花田秀次は裕次郎北島三郎ビートルズを足したような魅力なんだそうだ。 
興が乗ったついでに、次の大ヒット曲「男の仁義」も。(こちらのほうが度胸花より盛り上がった思い出が…)

 男の仁義(唄 花田秀次)

  男仁義の流れ者
  浮世の風というやつを
  さらり流した義理人情
  男一匹どんとこい!
  おれの胸でうけてやる!!

「…というやつを…」をところの転調がポイントでしたね。

1936年生まれ、御年73歳という。楳図先生。無論、画風も好みだが、偉大なるストーリーテラーとしてのかの才能をおおいに評価したい。
そして、最近のクレーマー的災難にはお気の毒様としか言いようがないのだが、まだまだ現役、本職での益々のご活躍を期待したい。

それにつけても、彼の作品は、実写化よりも秋田文庫あるいは小学館コミックスの白黒描写でこそ、よりいきいきとするのではないかと常々考えている。何より、登場人物のあの目ぢから、そして筋肉硬直的なあの走り方、あるいは、風の巻き方や風景の陰影などは、実写表現では到底無理だと思うのである。というか、基本的にホラーは苦手で、稀代のストーリーテラーだから何とか安心して読めるというのが本音。

お化けや妖怪や心霊現象よりも、何よりも一番怖い存在は、人間(の心)というコンセプトで描かれた「おろち」シリーズが一番気に入っている。

そこで、本日の一曲♪
「度胸花」でも魅せた彼の作詞家としての才能。この曲も彼の手によるものであり、センスあふれるタイトルと詩情ではあります。

「寒い夜明け」(郷ひろみ