セシルはセシル

電車の中で、ベリー・ショートカットの若い女性を見かけた。ふと思った。今でも、ああいう髪型を「セシル・カット」と呼ぶのだろうか。

ジーン・セバーグのことを思い起こす。若い人には記憶の外にいる女優さんかもしれないが、わたくしの生まれるそのまた昔に、日本でも彼女の髪型が一世を風靡した…らしいということは知っている。

ちなみに、わたくし的には、どちらかと言えば、同じベリ・ショートヘア、雀斑、小柄なタイプの女優さんでも、マルレーヌ・ジョベール(「雨の訪問者」の白いエナメルのショートコートとレインコートが印象的)が大のお気に入りだった。

それはともかくとして、セシル・カットは、フランソワーズ・サガンの「悲しみよこんにちは」で登場したわけであるが、この原題名はBonjour Tristesse。さらに、この原題も、ポール・エリュアールの詩からの引用だという。
直訳といえばそうなのかもしれないが、これを「悲愁」でも「ようこそ悲しみさん」でもなく、「悲しみよこんにちは」と訳したそのセンスは素敵だと思う。
同じ映画のジャンルでの邦訳のセンスのよさは、例えば、007シリーズの初期作品などに感じます。最近の映画は、原題名のままが多いのですね。

そこで、本日の一曲♪。
この曲の邦題を「二人だけ」と訳したそのセンスに脱帽。

「We're All Alone」(ボズ・スキャッグス