さよなら原理

今月はファンダメンタ強化月間とも言うべき集中的な取り上げ方を意図的か結果的か、してきてしまったようだが、その追尾を飾るべきニュースをスイスから。
http://www.asahi.com/international/update/1130/TKY200911290302.html

◆スイス、モスク尖塔の建設禁止可決へ 政府は困惑
 スイスで29日、イスラム教モスクのミナレット(尖塔=せんとう)建設を国内で禁止する憲法改正案の是非を問う国民投票があり、大方の予想を覆して禁止賛成が多数を占めて可決される情勢になった。「イスラム化」の不安をあおった右翼勢力の運動が功を奏した形で、政府には大きな痛手。イスラム諸国の反発が予想される。
 投票は正午(日本時間午後8時)に締め切られて即日開票され、TSRテレビによると、賛成が約58%を占めている。事前の世論調査では反対が優勢だっただけに、驚きを持って受け止められた。反対多数は仏語圏ジュネーブなど一部にとどまり、右翼勢力が浸透しているドイツ語圏などで賛成が広く優位に立った。
(中略) 
 スイス・イスラム教組織調整会のアフシャール代表は同テレビで失望を表明。「ミナレットが建設できないのが問題ではない。スイスはイスラム教社会を受け入れない、というサインを突きつけられたことが悲しい」と述べた。
 今回の国民投票は、移民規制などを訴えてきた右翼的傾向が強い国民党が主導。ミナレット建設阻止キャンペーンを展開した。同党幹部は「当然の結果だ。イスラム教諸国は感情的に反発するかも知れないが、心配するに及ばない」と述べた。
 スイスでは近年、労働力不足に伴って移民が急増。イスラム教徒は35万〜40万人とされる。


投票した国民の約6割弱がイスラム塔の建設に反対したと。
スイス内には確か住民の殆どがある種の過激な代替医療を盲従する一派で占められている町があると、M.ガードナーの「奇妙な論理」に書かれていたと記憶している(この本が書かれたのは1950年だが)。
日本国民が一般に想像しているスイス国民のイメージと言うと、平和指向で、多国語を操り、知的で、寛容であるといったことではないかと勝手読みしているのだが、何でも受け入れやすいということは、何でも排除しやすいということであるのかもしれない。「寛容」の意味の深さを改めて思い知るわけである。


ちなみに、本件記事は異国の「塔」に関するものであったが、それにまつわるどうでもよい話を最後に蛇足で。
地下鉄◎○●線、あるいは、JR◎○線の某駅の近くを通る際、電車の窓外の遠く、ビルの群れの遙か向こうに謎の塔(パゴダ)の先端部分が一瞬姿を現す。黄金色に加えて、歪な塔の形と異様な彫刻の施しようの様子からして、遠目に見ても得体の知れないオーラが電車内まで伝わってくる。相当に(彼らなりの)エネルギーの籠もった宗教施設なのであろうとは思われる。その塔を「秘宝館」とわたくしは密かに呼称している。


本日の音楽♪
「Good−bye Days」(YUI